やみものがたり

弥生いつか

プロローグ

朝は人の世界、夜は闇の世界。


かつて世界は、闇の住人が人間と同じ位、生息し昼間は人間が動物を狩っていた様に、夜になると闇が人間を狩っていた。


そんな闇の住人に対抗すべく、人間達は数々の対抗作を生み出した。


〝天才〟は夜を明るくする術を産み、銃火器を作り出し。


〝霊能者〟は八百万の神に力を借りて闇を払って行き。


〝能力者〟は神と崇められたり闇と呼ばれ討たれたり…能力の種類と産まれた場所によって、その扱いは左右された。


長きにわたる戦いの末、何時しか闇の住人の数が減り、世界は人間の天下となる。


しかし世界から闇の住人が減ると、人間達の中から闇を抱き産まれてくる者が現れた。


人間の母から産まれ落ちた筈。


しかし持つべき力は異形のものであり、まるで友人が会いに来るかの如く闇の住人を引き寄せ、まるで産まれ故郷に足を運ぶが如く、闇の世界に消えていく事も少なくなかった。


人間であり人間でない、闇の住人であり闇の住人でない。


人々は人でも闇の住人でも無いその存在を“闇の者”と呼ぶようになった。

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