3・2 像をうつす写像の表現ーー命題
○前段
1 : Die Welt ist alles, was der Fall ist.
世界は全てである。あらゆる何か、その現象がそこにあるに依る。
2 : Was der Fall ist, die Tatsache, ist das Bestehen von Sachverhalten.
事実、事実は、事態の存在です。
……
2.225 : Ein a priori wahres Bild gibt es nicht.
アプリオリな真のイメージは存在しません。
3 : Das logische Bild der Tatsachen ist der Gedanke.
事実の論理上の像が、思考。
3.01 : Die Gesamtheit der wahren Gedanken sind ein Bild der Welt.
真実の思考の総体は世界の絵である。
3.1 : Im Satz drückt sich der Gedanke sinnlich wahrnehmbar aus.
文章では、思考が感覚的に知覚可能な方法で表現されています。
……
3.14 : Das Satzzeichen besteht darin, dass sich seine Elemente, die Wörter, in ihm auf bestimmte Art und Weise zueinander verhalten. Das Satzzeichen ist eine Tatsache.
句読点は、その要素である単語が特定の方法で相互に関連しているという事実から構成されます。句読点は事実です。
……
3.144 : Sachlagen kann man beschreiben, nicht benennen. (Namen gleichen Punkten, Sätze Pfeilen, sie haben Sinn.)
状況は説明できますが、名前は付けられません。 (名前は点に似ており、文章は矢印に似ており、それらには意味があります。)
○派生図
3001
|……
├201
||├2
||└3
|├1
|├21
|├3
|├4
|├51
|└61
| ├2
| └3
3.2 : Im Satze kann der Gedanke so ausgedrückt sein, dass den Gegenständen des Gedankens Elemente des Satzzeichens entsprechen.
文章では、句読点の要素が思考の対象に対応する形で思考を表現できます。
3.201 : Diese Elemente nenne ich »einfache Zeichen« und den Satz »vollständig analysiert«.
私はこれらの要素を「単純な兆候」と呼び、文章を「完全に分析された」と呼びます。
3.202 : Die im Satze angewandten einfachen Zeichen heißen Namen.
文章の中で使用される単純な記号は名前と呼ばれます。
3.203 : Der Name bedeutet den Gegenstand. Der Gegenstand ist seine Bedeutung. (»A« ist dasselbe Zeichen wie »A«.)
名前はオブジェクトを意味します。オブジェクトはその意味です。 (「A」は「A」と同じ文字です)。
3.21 : Der Konfiguration der einfachen Zeichen im Satzzeichen entsprechen die Konfiguration der Gegenstände in der Sachlage.
句読点内の単純な文字の構成は、状況内のオブジェクトの構成に対応します。
3.22 : Der Name vertritt im Satz den Gegenstand.
名前は文内のオブジェクトを表します。
3.221 : Die Gegenstände kann ich nur nennen. Zeichen vertreten sie. Ich kann nur von ihnen sprechen, sie aussprechen kann ich nicht. Ein Satz kann nur sagen, wie ein Ding ist, nicht was es ist.
オブジェクトに名前を付けることしかできません。記号はそれらを表します。私はそれらについて話すことしかできず、発音することはできません。文章は、物事がどのようなものであるかを伝えることしかできず、それがどのようなものであるかを伝えることはできません。
3.23 : Die Forderung der Möglichkeit der einfachen Zeichen ist die Forderung der Bestimmtheit des Sinnes.
単純な記号の可能性に対する要求は、意味の決定に対する要求である。
3.24 : Der Satz, welcher vom Komplex handelt, steht in interner Beziehung zum Satze, der von dessen Bestandteil handelt. Der Komplex kann nur durch seine Beschreibung gegeben sein, und diese wird stimmen oder nicht stimmen. Der Satz, in welchem von einem Komplex die Rede ist, wird, wenn dieser nicht existiert, nicht unsinnig, sondern einfach falsch sein. Dass ein Satzelement einen Komplex bezeichnet, kann man aus einer Unbestimmtheit in den Sätzen sehen, worin es vorkommt. Wir wissen, durch diesen Satz ist noch nicht alles bestimmt. (Die Allgemeinheitsbezeichnung enthält ja ein Urbild.) Die Zusammenfassung des Symbols eines Komplexes in ein einfaches Symbol kann durch eine Definition ausgedrückt werden.
複合体を扱う文は、その構成要素を扱う文と内部的に関連しています。複合体はその説明によってのみ与えることができ、これは正しいか正しくないかになります。コンプレックスについて語られている文は、もしそれが存在しないとしても、意味不明ではなく、単に間違っているということになります。文要素が複合体を表していることは、それが出現する文のあいまいさからわかります。この一文ですべてが決まるわけではないことは承知しています。 (一般性の指定には元型が含まれます。) 複合体のシンボルを組み合わせて単純なシンボルにすることは、定義によって表現できます。
オホォ^〜^^^^^
うーんまぁ、ここまではまぁ、なんとかまぁ……いままで、ここで論じられるものを下手に「文章」に置き換えてはならないとは思っていたのだけれども、もういったんおとなしく文章と思って接するしかない。というかまぁ論理哲学論考そのものが文章にほかならない以上、文章を論じるものとして追ってしまってもたぶん大過ないよね? 大過ないことを祈ります。
ここまでさんざん語られてきた「論理空間上の現象を我々の脳内にて像として感得したものを写像として描出したものを表現するテキストとしての形式」を命題と呼ぶ、ようだ。いやまだわかんない。確定はできない。なにせこの本、たぶん1.2を理解すんのに6.5が必要みたいなクソ本だから、下手にここまでの内容だけで命題を決め打ちしきれない。
こと・ものを命題上で指定するのが名前。ただしそこには「単純記号」というワンクッションが置かれる。そして単純記号が特定の配列によって世界の現象をある程度共通の認識として拾いうる可能性を帯びる場合、「その命題は完全に分析された」とするようだ。いや像が絶対的に不確かである以上、像を描出する命題について誰が接しても完全に分析されることなんかありえなくね?
3.24にある「複合体のシンボルを組み合わせて単純なシンボルにすることは、定義によって表現できます。」という言葉は、このクッソ難解なテキスト郡を読むにあたってとても示唆的なものだと考える。つまり思考というワードが現れるたび、こちらは「2の議論全て」を改めて踏まえおかねばならないのだ。本来的にはここをショートカットしてはならないのだが、さすがに煩瑣にも過ぎるからヴィトちんはカットしているよ、と宣言しているのだ。こわーい。この先、何らかの新語がでてきたときには、その新語が現れるまでの諸議論に改めて立ち戻らねばならないのだろう。一方ですでに出てきている単語についても、議論がある程度進んだ上でなければ解説し得ない内容もあったりし、ならばそこを踏まえていったん立ち戻り、読み込み、検討せねばならない。ここまでにも「進んでは戻りして読み込んでいかないといけなさそうだ」とは書いたが、「それが具体的にはどういうことなのか」について、じわじわと具体性を「帯びさせられている」印象である。こわーい(二度目)。
とりあえず、2の議論を踏まえれば何者かの書いたテキストにおけるすべての分析は「お前の写像に基づいてしか語れねえあやふやなもんじゃねーかバーロイ」になってしまうので、ここにどう落とし所をつけるのか、について考えざるを得ない。こうした部分を阻害するのが「完全に分析した」だ。できるわけねえだろバーロイになってしまうので。
ここをどうくぐり抜けるかについては、けど結局6の終盤までかかるのかもしれないなあ。なにせ「あやふやなもんの中でそれでも確かなもんを確立できた」が確かに立証できなきゃ話にならない。確か確かうるせーって? そう思います。けどヴィトちんの執拗な記述と向かい合う際、贅言を煩瑣と言っとられんのよ。なにせ他ならないヴィトちんが一見贅言としか思えない言い回しをこちらに、「これが最低限のテキストだ」と突きつけてきてる。なら、こちらもあえて増やさねばならない。追いつかない。いやもともと追いつけないんだけど。
「完全に分析した」は結構重要なターム臭いが、これも棚上げせざるを得なさそうである。はい、つぎ、つぎ。
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