1・2 全と一

○前提


1

Die Welt ist alles, was der Fall ist.

世界はあらゆる何かが提示される、その全てである。


1.1

Die Welt ist die Gesamtheit der Tatsachen, nicht der Dinge.

世界は事実・現象の全体を示す。物体・存在のことではない。



○承前


1.2

Die Welt zerfällt in Tatsachen.

世界は事実・現象によって分解される。


1.21

Eines kann der Fall sein oder nicht der Fall sein und alles übrige gleich bleiben.

ひとつのものは「そうである」もしくは「そうではない」に分解される。そして同時に全てはそのままで保持される。


Ludwig Wittgenstein. Tractatus Logico-Philosophicus (German Edition) (p.2). Kindle 版.



 うーん、やっぱりここは荘子の「物无非彼,物无非是。自彼則不見,自知則知之。」の話であるようにしか思えない。まったく同じ事を言っている気さえする。


 解説を読むと「世界-言語-命題」のつながりが書かれるとのことであり、世界、すなわち「我々が知覚するもの」についての提示がなされているのだろう。それはそれでいいとして、ではなぜ世界が知覚の産物である、と言うことに対するコメントで「総体」と「個体」の話が出てくるのだろう。


 いやここもアレだな、「世界はあまりにもどでかい」「けど自分がいてしまう」という、荘子で見出したものに当てはまってくるな。いやだなこれ、いったん荘子忘れないととんでもない陥穽にハマる気がする。と言っても逃げ切れないので、この辺もふわふわ残しておいて先に進もう。

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ヴィトゲンシュタイン「論理哲学論考」を読む ヘツポツ斎 @s8ooo

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