1 世界は、そうであることの全てである

1 世界は、そうであることの全てである

1

Die Welt ist alles, was der Fall ist.

世界は全てである。あらゆる何か、その現象がそこにあるに依る。


1.1

Die Welt ist die Gesamtheit der Tatsachen, nicht der Dinge.

世界は事実・現象の全体を示す。物体・存在のことではない。



(Ludwig Wittgenstein. Tractatus Logico-Philosophicus (German Edition) (p.2).

Kindle 版.)



 ここでやめておこう。このあと1.1についての詳細が示されるが、ドイツ語からの翻訳だけでえらい時間と気力を使ってしまった。これは燃費が悪いなあ。原文/日本語訳をもとに自分で訳、が最良とは思うのだが、さてどうしたものか。


 ともあれ、世界=全て、ただし「色」という形で見做すことができそうである。般若心経において世界は「空」と置かれ、そして「そのうち人間が認識し得る部分」を色とした。先に解説を読んでいるのだが、ヴィトゲンシュタインはこの「色」の部分を人間は無限に語ることができるのだけれども、しかしそれでも「色」がなぜ存在するのか、と言った部分を語ることは叶わない、と話をするようなのである。


 世界は、自分が様々な知覚にて「そこにある」ものを認識するからこそ初めて世界たりえる、と語る。そこに様々な物質があって、それが世界を構築しているわけではない、という。これいきなり蹴躓くよなあ、「言うて、『もの』は確かにそこにあるじゃん!」ってどうしてもなりそうだ。ここってどうやれば展開できるんだろう。


 とは言え、その道筋を考えるだけの余裕はいまの自分にはなさそうだ。そういった部分は投げ出して、まずヴィトゲンシュタインが「自身が感知してたもの、その全てこそが世界である」、と「規定した」で話を進めていかねばならないのだろう。

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