運動会落ち込みマシン
沼津平成
運動会落ち込みマシン
たくおは運動会の徒競走で、5人中4等でした。
途中まではよかったのに、最後の最後で、転んでしまったのです。
しょんぼりの帰り道。「たくおや。」と科学者が呼び止めました。
「なんですか。」
たくおはききます。
「今日、運動会だったろう。たのしかったか?」
「いいや。」
たくおは首をふります。
科学者は、たくおを椅子に座らせました。
「たくおくん、そのゴーグルをかけてみて。」
「このゴーグルを。」
たくおはゴーグルを手に取りました。
「うん。」
するとみるみるうちにうれしくなってきました。
「でも、ぼくはがんばったぞ。」
たくおはうれしくなって帰っていきました。
「こんどは、ぼくが。」
それを見たしゅうたが、半年後の春の運動会で、「えーん、えーん。」と泣きながらやってきました。
「どうした、どうした。」
科学者が聞きます。
「きょ、きょうね。運動会のダンスでね、しくってしまったの。」
「そう、しくってしまったか。」
科学者はしゅうたを椅子の上に座らせ、灰色のゴーグルをかけさせました。
しゅうたはこっそり向こうを覗きました。何もありません。
「おい! どういうことだ!」
しゅうたは真っ白な世界に立っていました。
「嘘をついた人はね、世界が見えなくなってかなしくなるんだよ。」
科学者がざんねんそうにはなしはじめます。
運動会落ち込みマシン 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel
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