妹をどこにやった?

天川裕司

妹をどこにやった?

タイトル:妹をどこにやった?


(自宅アパート)


兄「おいお前、俺の妹をどこにやったんだ?」

「え…?」

兄「『え?』じゃねぇよ。お前ら付き合ってたんだよな?妹の携帯履歴からよ、お前の事わかったんだよ」


「い、いやそんなこと急に言われても…え??マユカ、どっかに行ったんですか!?」

「しらばっくれんじゃねえよ!これ!」


俺は確かに少し前からマユカと付き合っていた。

今、そのマユカの兄と名乗る男が俺のアパートへ来て、

こんなことを言ってきている。


そして彼が差し出してきた携帯電話には、

『どうして返信してくれないの?…もう相手にもしてくれないんだね。分かった。森の中でこの世を去るから』

マユカから確かに俺の携帯に送られてきた

このメールが表示されていた。


俺とマユカは実は少し前に喧嘩して、

それ以来、本当に連絡もせず、

口もきかない状態になっていたんだ。

確かに「別れようか?」それを思ったこともある。

このメールが来た時も、俺は返さなかった。


でもこれは普通に喧嘩していただけで、

俺がマユカに直接何かしたわけじゃない。

直接何かしたのはそれまでのこと。

今、マユカの兄貴が言ってるような

そんなことを俺は一切していない。


「違います!誤解ですよ!!」

兄「何が誤解なんだよ!あれからマユカ、ほんとに家を出てって帰ってきてねぇんだよ!」

「……え」


それから事が急展開していった。


(自宅アパート)


「俺じゃない!俺はやってないよ!」

警察「大人しくしなさい!事情はちゃんと聞くから」

俺は連行された。

俺の部屋からマユカの遺体が見つかったんだ。


(取調室)


警察「ん、携帯電話?」

「…ええ、そうです。マユカのお兄さんが少し前にウチにやってきて…」

先日のことを警察に全部話した。


警察「携帯電話を、マユカさんが持っていたんですね?」

「……ええ」

何かマジマジと聞いてくるから「何だ?」と思った。


(警察同士の小声の話)


警察1「妹が携帯を持っていた?確かあのお兄さんが言ってたのは?」

警察2「ええ、妹さんは携帯を持たない主義だと」


都内から少し外れた郊外にある森奥で、

マユカの頭髪が落ちていたと言う。


(別の場所で)


兄「マユカ、恋の1つも実らせる事が出来なかったんだな。とりあえずお前の無念、晴らしといてやったぞ…」


兄は兄でマユカと折り合い悪く、

喧嘩ばかりの毎日だったそうだ。


でもマユカと俺との関係がそんなだったのを知り、

急に兄妹愛に芽生えたらしく、兄が妹を思いやる心?

そんなものを自分勝手に持ち、とりあえず

憎しみ・鬱憤の対象としたのが俺。


こんな衝動で動くヤツがこの世に本当に多いとは…

仲直り、出来てたかも知れないのに。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=J0TH-OuArbk

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

妹をどこにやった? 天川裕司 @tenkawayuji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ