43 まさに
ステータスの測定。突如やってきた胸を躍らせる
「気になるなあ、ギン?」
「いいからさっさとやれ」
俺が急かすと、サトウは「はいはい」と言って測定を始めた。ステータスの測定は特別な装置を使って行うと説明された。黒く四角い直方体にはノクタブックを嵌めるらしいくぼみがあり、その横に手を乗せる場所がある。測定者がそこに魔力を込めると、ノクタブックにステータスが記録されるという仕組みのようだ。
「できました。ノクタブックを取ってください」
測定を始めて数秒経ち、サトウが測定を終えた。
「おっ....できたぜ、ギン」
「発表会はあとでだ。ちょっと待っててくれ」
その場で見せようとしてくるサトウにそう言って、俺も測定を始める。
さっきもらったノクタブックを左のくぼみに嵌め、右の手形に手を乗せる。そしてそのまま直方体に魔力を込めた。
「ギン君もできましたね」
ノクタブックの下から光が漏れ、測定は完了した。ノクタブックをくぼみから取り、次はミルの番になった。ミルも同じ様に測定を始め、何事もなく完了する。こうして、全員の測定が終わった。
「見ましょうか!」
皆で集まってこれから見ようという所で、先生が俺達の間に入ってきた。
「.....先生も見るんですか」
「もちろん!このために今日は残業しているんですから」
そう言われると、俺達に返す言葉はなかった。
「じゃ、一番普通そうだからサトウからで」
「....俺が普通ってか、お前らがヘンなだけだろ!」
確かにそうとも言えるかもしれない。サトウに比べて俺やミルシェのステータスが極端なのは分かりきっている。
「いいからいいから」
俺の言葉に、サトウは魔法書の後ろのページを開いた。
「あったぜ。へっ、こういうのだよな!やっぱりよ」
開かれたページを見て、サトウがにんまりと笑う。
俺もまた、そこにびっしりと記された紺色の文字を見て感慨深い気分になった。
HP 248
MP 72
STR 63
DEF 51
WIZ 9
MGR 42
DEX 23
AGI 48
そこまでぱっとしないステータスに俺は微妙な反応を見せる。しかし、俺の隣にいる者はそうでもなかったようだ。
「凄い...!!こんなに高水準な生徒はあんまり居ませんよ!サトウくん、流石冒険者をしていただけありますね」
魔法の学校で教師をしている彼がそういうのだからきっとそうなのだろうが、比較対象のない俺達にとってはよく分かりづらい。
「はじめて見るからよくわかんないなー....」
「ま、じゃあ比べるためにもどんどん見ていくか」
サトウに続いてミルがノクタブックを開く。
HP 121
MP 829
STR 28
DEF 12
WIZ 62
MGR 18
DEX 12
AGI 28
「な、なななんですかこの魔力量は?!それに、この
「くくっ、一気に数字が跳ね上がったぞ」
HPとMPの数字は伸び方が違うというのは分かるが、829という数字のインパクトは凄まじい。流石に、巨大な
「もっと驚いてください!この魔力量なら王都でも3本指には入りますよ!」
「う、うん」
そんな先生の力説だったが、ミルシェは苦笑いを浮かべた。
「3本指か!すげえなミルシェ」
「そうかな?」
サトウの言葉にも、イマイチな表情を見せた。ミルは今までのことから、きっと自分に自信が持てないのだ。しかし俺は特に何も言わなかった。なぜならこの、
「最後は俺だな」
「...はい。僕はもう、何が来たって驚きませんよ...!」
隣のサトウがそれはフラグじゃないかと言わんばかりに苦笑いを浮かべる。
「よしいくぞ........ほれ」
HP 190
MP 85
STR 12
DEF 342
WIZ 12
MGR 316
DEX 4
AGI 6
「!?!!?!?!!?」
言葉にならない声が先生の喉の奥から溢れた。
口をあらん限り開いた先生は、そのまま石のように固まってしまった。
「いい...意味が分かりません....!!そう、きっと測定器の故障だ!!」
そう言って先生は、故障したのか確認するために自分のステータスを測定しに行った。しかし自分のステータスになんの変哲もなかったのか、訳がわからないという顔で帰ってきた。
「なにそんなに驚いてるんすか、先生。ミルシェの魔力のほうがすごかったじゃないっすか」
「アホ、サトウ。魔力と防御力の伸びが同じな訳ないだろ」
「え?あー.........」
サトウは自分の記憶を探るように天井を見つめる。
「....ええ、体力や魔力に比べてそれ以外のステータスは伸び方には、大体5倍位の差があります」
と、先生が補足する。
その言葉と自分のステータスを照らし合わせてみて、サトウは完全に納得したとばかりに頷いた。
丁度サトウのDEFとHPには5倍くらいの差があってわかりやすい。
「ってことは、お前の防御力は.....」
「魔力にすれば、1500以上ってことになるな」
「はぁぁああ?!」
「ええええええっ?!」
サトウとミルも口をあんぐりと開けて仰天した。
「みなさんも、これの凄さが分かりましたか?僕はまだ信じてないですよ....だって、僕がいままで見た中で、一番防御力が高い人でも100とかです.....」
100というと凄く低く感じるが、それは先生が魔法使いのステータスを見る機会が多いからなのだろう。
「ギン、前からヘンだと思ってたけど....どうなってるの...?!」
皆の俺を見る目が呆れに変わっていく。今までも俺の防御力の高さについては当然理解していたが、実際に数字としてみることでその凄さを実感したのだろう。それにしても、初期ステータスから約三倍だ。初期の時点で相当硬かったのだから、今となっては
......「歩くダイヤモンド」なんて称していいレベルだろうな。
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