七罪悪魔

コウライニンジン

花スラ団子

人々に能力というものが浸透した世界で、一人の男が生まれた。

男は他より能力の発現が遅かった。

男は花が好きだった。

男の目に花は輝く宝石に見えた。

男が生まれて18年、好きな女ができた。

女は##と名乗った。

##は男とともに花を見た。

男はそんな時間が好きだった。

ある日、男にも能力が表れた。

自分含めた生物の前に白、黄、緑の3つの珠が表れる。そんな能力だった。

それと同時に、男は強い空腹感に襲われた。

最初は茶碗一杯で腹は満たされた。次はどんぶり1杯で満たされた。次は鍋いっぱいで満たされた。次も。そのまた次も。そして、一月と経たず、いくら食べても飢えを満たすことができなくなった。

そこに心配した##が表れた。

男は…………

##の黄の珠を手に取り、口に頬張った。

男は言葉を発した「お前は…………誰だ?」

##は怯えた。女は親の元へ向かった。

親は言った「あんたは………誰だい?」

##は妹に……かつての親友に…学校の恩師に……聞いた

…………誰も##という人間をを覚えてなかった

その間男は飢えていた……山に行き、猪を喰らった。

飢えていても不思議と身体は前より動くようになっていた。

男は足を喰らった。逃げられないように。男は喉喰らった。五月蝿かったから。男は珠を喰らい、胴を喰らい、目を喰らい、骨を喰らった。

そこに、女がやってきた。

男は女をとっ捕まえた。

次の日、村人が山に行くと、血に汚れた誰かも分からぬ着物が一つ、落ちていた。

男の前に蝿が表れた。

蝿が男に話しかけた。

「飢えを満たしたいか?満たしたくば珠喰らえ。白の珠には魂が宿る。黄の珠には存在が宿る。緑の珠には知が宿る」

男は蝿の言う通りにした。

男は珠を3つ喰らわば一時的に飢えを満たせた。

蝿は言った「白の珠喰らわば命宿る。輪廻の分まで生きようと。黄の珠喰らわば存在宿る。一度見られば忘れられんと。緑の珠喰らわば知が宿る。誰にも負けぬ知識が得られようと。」

男は飢えを満たせば永遠に生きた。誰にも忘れられぬ存在感を得た。誰にも負けぬ知識を得た。

〘50年後〙

ある男性は女性に惚れていた。

男性は女性を外へ連れ出した。

途中で雷雨に苛まれた。

男性は近くの小屋に女性を入れた

男性は言った「俺が外を見る。中で休め」と。

夜が明け雷雨が止んだ。

男性は小屋の戸を開けた。

そこに女性はおらず、そこにあるのは血に汚れた着物が一つ。

男性は怯えて村人に伝えた。「鬼が出た。鬼が女性を喰ろうてしもた。」

山の奥で男はとある女性から取った黄の珠をその口に押し込んだ。

途端、男性は女性を忘れた。

〘現代〙

男は花を見た。おもむろに花を掴み…………その口に頬張った。

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