あぶくにもならぬ者よ

うさみゆづる

御手をどうぞ

あなたに会いさえしなければ

気が遠くなるほどのこの長い年月

小さな蟻で食い繋いでいるかのような

そんな思いはしなかったのに

けれどもあなたに会いさえすれば

この数百年も風が通り過ぎただけみたいだ

いつしか止まった心臓が

錆を掻き出し動きはじめた

血の通った話をしよう

歴史書にある生き様じゃなく

目の前にあるこの人格と

ワルツを踊ろう

触れられずともステップは

頭に刻み込んである

さあわたしの手を取って

つま先が潰れるほどに待ち侘びた

わたしを再び思い出してよ

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