第2話 エレモア王国
未だ疑う異世界召喚……が、視覚、聴覚といった情報伝達物がここは異世界と訴えかける。不安はあった。疑問も多い。その疑問を晴らすには情報収集が大切だ。
「ここが………」
『剣神』の案内を受けたどり着いた国。彼いわくこの国はこの世界で一番土地面積が広いとの事。また様々な国の商人がこの国で商売しているそう。商業の発展は国の発展。正しくこの目に映る街並みは人が栄え、商売人も多く見える。
「そう、この国こそ世界最大の発展国家であり、経済の中心とも言える場所。『エレモア王国』だ」
「すげぇ………」
人の出入りが凄いのもあるが1番は
「あれはなんだ?」
一際目立つ「あれ」に指をさす。
「あれかい?あれは空游の滝さ」
上空に輪っか上に展開された水。そして一部一部から滝のように水が落ちてくる。
「あれは魔法か?」
「そうだね。あれは古代魔法……初代国王が作り出したものだ。この国は今では最大の発展国家になってはいるがそうしたのはあの滝の力も大きいんだよ。」
「滝になにか深いものが?」
「この国は大陸の中心にあるんだけどね。不便なことに水が一切ないんだ。だから、あの滝だ。あれは大気中の水分とマナを魔法で綺麗な水に変換し一定量蓄え、それを超えると滝となり下に落ちてくる。そういう仕組みを作ることでこの国の水不足を解決したんだ。綺麗な水があると土地も綺麗になる農作とかも発展。そういうところに人は集まる。ゆえに最大国家の完成だ」
「初代さんすげぇ」
初代国王の偉業に関心していると
「僕の案内出来るのはここまでだ。」
「え?」
なんと門を目の前に案内の終了を宣言された。
「そんな顔しないでくれ。訳あって僕は国に入れないんだ。」
「国に入れない?」
追放でもされたのだろうか。だがこんな親切な人がそんなことあるだろうか。色々事情があるのだろう。しかしここで案内人がいなくなるのは辛い
「安心してくれ。その代わりこの国の者に案内をまかせている。」
任せてる?
「いつたのんだの?」
シンプルな疑問が浮かんだ
「ちょっとね。」
そう言ってその国宝級のイケメン顔でウインクをする。
ずるい。これは男でも惚れてしまう。やめてくれ。
まだその扉は開きたくない……
そんな事を考えていると
「こんにちは」
一人の女性がこちらに挨拶をしてきた。
「…こんにちは……?」
「なんだ?その腑抜けた挨拶は……まぁ初対面で急に挨拶されれば仕方の無いことか……いや、挨拶位は普通に返して欲しいものだ……」
返しへの不満を口にしている女性。美しく蒼白い髪を束ね、The美形。身長は自身より少し高く、騎士なのか服の一部一部に鎧のようなものと腰の剣。そしてしっかりと出ている胸と華奢な体。
「君?あまり女性の体をまじまじ見るものではないぞ?」
「………あ、すみません。とても美人だったもので……つい。」
「よく言われるよ。」
そう言って微笑みかける。
やはり綺麗だ……
「自己紹介がまだだったな。私の名前はクリス・シルヴァーだ。クリスと呼んでくれ。君の名前は?」
「そういえば聞いてなかったね。名前なんて言うんだい?」
クリスさんはともかく『剣神』さん……自分も名乗らなかったのは悪かったけど……名前の知らないままは厳しいって……
「お前……名前も知らず一緒にここまで来たのか?」
そう言われ『剣神』は頭を掻きすみませんと言う。
『剣神』……きっと凄い地位なのだろ……威厳もクソもない……と、そんなことは置いとき
「俺の名前は
「ミナト……か。良き名だな。名前にはその者の魂と願いがこもっている。その名生涯大切にするのだぞ。」
魂と願いか……
「それじゃミナトくん。ここからは最初に話した通り、案内人が僕ではなく彼女、クリスさんになるから分からないこと等は彼女に聞いてくれ。」
『剣神』はそういう
「あぁ、剣神さんはどうすんの?」
「僕は行かないといけないところがあるからね。そちらに行くよ。」
「そ。ここまで案内してくれてありがとうな。気をつけて。まぁあんたなら大丈夫そうだけど…」
「ハハッ。確かに僕に心配はあまりいらないかな…じぁ息災に。」
そう言って剣神は姿を消す。やはり化け物だ。一瞬で消えた…
「ではミナト殿、こちらも行くとしようか。」
「あぁ、そうだ。案内の方お願いするぜ。クリスさん。」
「……君は……肝が座っているのか…それともただ礼儀知らずなのか……まぁいい。」
お願いの仕方だろうか。
「まぁ、そこは父親譲りだからな。頼みますぜ。」
それを聞いたクリスはなにか変だったのかクスッと笑う。
「これから楽しくなりそうだな。では、行くぞ。」
「あぁ。」
王都を歩く二人。その二人を見る人々がザワザワしている。
違和感。いや。これでいい……わけない。
「あのぉ。なんか凄いザワザワしてますが……」
「ん?あぁ私がこの国の時期姫王になるのもあるが、一番はそんな私と一緒にいる見た事のない服を着た君が要因だろうな。」
あ。そういう事ね。確かにこの服は目立つな……ここの人とはまた違う服装だし……
ていうか……
「あんた時期トップの方なの!?」
「ん?なんだ。あの剣神……そんなことも教えてないのか………」
呆れたようにため息をつく彼女を見て苦笑いを浮かべる。
「………はははは……はは……」
「まぁいい……その説明もしないことには始まらんな。あそこの長椅子を借りよう」
そう言って、噴水の近くにあるベンチに2人腰をかける。
「で、時期姫王というのは?」
疑問であった姫王について問うと
「ふむ。私の家系……シルヴァー家は貴族でな……..。
代々王の座を取ろうとしているのだよ。」
「その言い方的にまだなれてはいない感じなんですね?」
「うむ。そもそも王になるにはいくつか条件がある。
実の所、貴族だから王に相応しいとはならないのだよ。
つまり、平民だろうと下民だろうとなろうと思えば狙える座であるということだ。だが、そこにある条件があることで、なれるものは限られたものとなる。それが……聖練された魔力の持ち主であること。だ。」
「聖練……された魔力?」
魔力は分かる。異世界の定番だ。せいれんとはなんだろうか。鍛え上げられた魔力のことだろうか。そんな疑問に答えるように説明が続く。
「聖練された魔力というのは、普通の魔力とは違うもであり、極めて純粋で透き通った魔力のことを言うのだ。特徴を言うなれば、その魔力の持ち主は加護はもちろんのこと権能なんかも持ち合わせていることがほとんどだ。」
「あぁ、加護と権能についてだが……」
新たな2つの単語について説明しようとしているが
「問題なし!せいれんについては分からなかったけど、加護と権能は既に知ってる!」
この2単語も異世界の定番だ。
「加護は祝福!権能は恩恵!」
実の所、ミナトはアニメや漫画といったものが大好きなのだ。混乱はしたものの多少憧れた異世界召喚。これが現実だと確信したその時から彼の中では興奮でいっぱいなのだ。
「なら……説明の手間が省けて良いのだが、聖練された魔力を知らず、加護と権能を知ってるとは……変わってるな…」
加護とか権能は異世界物で結構見たので分かるが、それを言ってもなんのことか分からないだろう。
「まぁ、否定はしないわ」
「ところでミナト殿、出身はどこなのだ?その服装からしてここ周辺ではないだろう?」
出身……まぁ普通の質問だな。だがどう答えたものか。ここはシンプルに異世界から来ましたと言うべきか…
いや、理解してもらえるだろうか……変な目で見られるのはごめんだ……既に変な目で見られたそうだけど…
そんなことを考えてると
「ふむ。済まなかった。そこまで深く考えなければならないこととは思わなかった。今のは聞かなかったことにしてくれ。」
気を使わせてしまったようだ。
「いや、話せないわけじァないんだ。ただ、どう説明すべきかなって。」
「ふむ、話しずらいものであるにはかわりないようだな。ちょうどいい…ここからすぐのところに私の屋敷があるんだ。そこで話そう。」
そうして俺はクリスさんの屋敷へ向かうこととなった。
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