かいちょーとししょー
「あ、やっと起きた。というかよく死んでなかったね」
「へへ、すまねえな。ここまで運んでくれたんだろ?ところでここはどこだ?」
「ここは私たちの家よ。いい試合だったわ。ありがとうね」
「あ、ああ。確かにいい試合だったぜ。まさか魔法を使わないやつに二度も負けるなんて考えたこともなかったぜ。そういえば雪梛も強いのか?」
雪梛は少し考えてからしゃべった。
「まあ一応の前回の世界では最強だったね。香澄との最終勝負であの時は勝てたけど次はわからないね」
「あんたも強いのかよ。まあいいや。とりあえずここまでありがとうな。またいつか会おうぜ」
そう言って熱無は立ち上がり帰り支度をした。
「もちろんよ。また戦いましょう」
「次は絶対負けないからな。じゃあお邪魔しましたー。」
熱無は颯爽に返っていった。
「あの流体無焦点、やばすぎじゃない?」
雪梛はあのやばい立ち回りをした香澄に意見を求めた。
「流石に自分で使っててもドン引きだわ。あんなコンボはよっぽどじゃない限りやめましょう」
香澄と雪梛はそう決めて全力以外禁止リストに入れておいた。
「さて、この後どうしようかしら。せっかくの新キャラをボコボコにしちゃったからすることないわよ」
香澄にそう言われて雪梛は少し考えてからスマホを取り出した。
「それじゃあそろそろイベントの開始といこうか」
雪梛はメモアプリを開いて考え始めた。
「どんなイベントにするのかしら?またトーナメントじゃ味気がないわよ」
「その辺はわかっているよ。そうだね。とりあえず一旦原初の方に帰ろうか」
あまりにも予想外すぎて香澄はキョトンととしてしまったがすぐにどういう意図か分かったため納得した。
「なるほどね。じゃあさっさと帰るとしましょうか」
雪梛は亜空間の生成を行なって香澄と共に中へ入っていった。
「久しぶりやな。まあそっちであっとったんか知らんけどな」
なぜかでた先にてんちょうがいた。
「なんでこんなところにいるの?不法侵入で訴えるよ」
「そうよ。人の家に勝手に入り込むのはサイテーよ」
「少なくとも香澄にだけは言われとーないんやが」
雪梛の部屋の中にてんちょうはいた。
「どしたん?こんなに早く帰ってくるなんて。なんか気になることでもあったんか?」
本当に知らないのかてんちょうは笑いながら聞いてきた。
「ええそうよ。
するとてんちょうはスマホを出して何やら操作してから返答した。
「おう分かったわ。とりあえずここに呼び出しといたのやさかい少し待っとりはればくるで」
どうやらてんちょうもメモを使えるようだ。
ピンポーン
「はいはいー。今行くでー」
てんちょうはそう言ってドアを開けに向かって雪梛たちも同行した。
ガチャ
「久しぶりねてんちょう。急に呼び出して…あら雪梛と香澄じゃない。もう帰ってきたのかしら?」
朝月はにっこり笑いながらいった。
「ちょっと朝月に話があるから戻ってきたんだよ。時間は大丈夫そ?」
雪梛からの問いに朝月は頷いて肯定した。
「じゃあ後はおまえらでよろしくなー。ではお邪魔したでー」
てんちょうは逃げるかの如く返っていった。
「とりあえず中入っていいよ。今の飲み物とってくるから」
香澄が案内する形でとりあえず全員座った。
雪梛は持ってきた飲み物を注いでいる。
「それで、話って何かしら?もしかして異世界先で変なことでもあったのかしら?」
知っているんだかよくわからないような感じで朝月はいった。
「そうね。なんでか貴方のことをししょーと呼んでいる子にあってきたわ。それで貴方に今から同行を願うわ」
香澄はストレートに言った。
「実際心当たりはあるの?」
「正直ありすぎてどの子かわからないけどいいわよ。それより貴方達、なんかやばい技を習得してきたじゃない」
朝月は観察眼で二人を観てもう気づいているようだ。
ちなみに朝月の現在の観察眼の精度は三番目となっており雪梛、香澄、朝月となっている。
まあ結構僅差だったりはするのだがな。
「もちろんよ。やばすぎて本気の時以外禁止にしたのよ」
「どんな立ち回りしたのよ?」
朝月は面白そうに聞いてきた。
「そうね。まずは流体という脱力状態で動ける技で相手に無焦点を使ってそのすぐ後に無焦点で地面を蹴って空中で相手を踏み台にして無焦点を使って上に上昇して上昇し切ったら真下に向かって貴方の空破斬を撃って衝撃透過で相手を踏みつけてフェニィィシュよ。爽快だったわ」
朝月は立ち回りを想像してゾッとしながら笑った。
「じゃあそろそろいこうか。向こうでもどうせ懐かしい人だかとも一緒に喋るんだから」
雪梛はそう言って亜空間を生成した。
「そうね。じゃあ早速いこうかしら」
全員立ち上がって魔法使いの方へと戻っていった。
「おう。おかえりちゃんやっておっと!まあまあそんなに邪険に扱わんといてくれや。じゃあ挨拶もすませたことやし私はさっさと帰っちゃうでー」
全くどこにでもいるのだろうか。
三人はそんなことを思いながらとりあえず外へ出た。
「懐かしいわね。ここは確か魔法使いの世界だったかしら。あたしの自慢の観察眼が効かなくてすっごいビビったとこじゃない」
どうやら本当に来たことがあるようだ。
「知っているようで何よりだわ。じゃあとりあえずあのカフェでも行くとしましょう」
香澄はそう言って先頭に行き真反対へと歩いていった。
「どこ行くの?こっちだよ」
「あらごめんなさい。どうも方向感覚は弱いのよね」
冗談なのかわからない顔をして正しい道を進んでいった。
「香澄って昔から方向感覚が弱いのかしら?」
「そうだね。結構間違えたりするけど本人はいつか着くからいいのよとか言っているんだよね。真反対言ったら一周しないとつかないのにね」
そんな他愛のない話をしているとあっという間に着いてしまった。
「じゃあさっさと入るわよ。またあいつがいたらビリヤードで締めてやるわ」
店内でやるつもりなのだろうか…
朝月はてんちょうがいないようにと思いながら入っていった。
「こんにちは
どうせてんちょうが何か仕掛けている気がしたがやはり的中した。
「ご一緒してもいいかしら?もっとも少なくとも会長は懐かしい人を連れてきたわよ」
そう言って香澄は朝月を前出した。
「あれー。ししょーじゃん。お久しぶりっす。元気してましたか?」
会長は特段驚くこともなく挨拶をした。
「久しぶりね会長。今はもうそんなところまで登っているのね。この子達はどうだった?」
朝月は会長に雪梛と香澄について聞いた。
「それよりも先に座っちゃいななよー。そういえば深雪に話していたかしらー?」
「確か会長のししょーだろ。その話なら結構聞いていたからわかるぞ。初めまして朝月さん。私は深雪と言います。この世界でオールラウンダーでやっています。よろしくお願いします」
深雪は礼儀正しい挨拶をした。
「そんなにかしこまらなくても全然いいのよ。初めまして深雪さん。あたしは朝月。話はもう聞いているかもだけどこの子達と同じ世界からきているわよ。よろしくね」
会長は近くにいた店員さんを捕まえてホットコーヒー2つとホットココア3つを頼んだ。
「そういえばさっきの質問に答えていないわねー。雪梛と香澄は本気のししょーと戦ったら多分僅差で負けるねー。まあこの二人はそこが知れないから微妙なんだけどね」
会長の予想通りだとすると脳の使用率を100%にして刹那モード、色付きで一騎打ちをするとギリギリで朝月が勝つということになってしまう。
ということは雪帰りの雪梛、色取りの香澄と同等ということになってしまうけど合っているのだろうか。
ちなみに雪帰りは吹雪の呼び名から雪梛に戻ってきたときの状態のこと。
そして色取りは紅葉から香澄に戻っていたということです。
雪梛と香澄は朝月の方を見た。
「会長、流石に私を過大評価し過ぎよ。まあ観察眼であれば自信持って頷けるんだけどもね」
朝月はそんなことを言っていたが実際そうだろう。
雪梛ですら朝月の本質までは掴めていないのだから。
「貴方達も雪帰りと色取りになって真剣にやればもしかしたら私に届くかもね」
朝月はかなり自信があるようだ。
飲み物がちょうど届いてあとは雑談に花を咲かせて今日はお開きとなった。
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