第10話 久しぶりの学校
七月四日(木曜日)
学校に行かない日々が数週間続き、季節はあっという間に夏だ。
母も最初は真夜が学校に行かない理由を聞いてきたが真夜は答えずに口論になった。
真夜が学校を休み始めた頃は「なんで学校へ行かないの?」と不機嫌によく聞かれた。
しかし、真夜は言いたくなかった。
一年生の学年末にある事件が起きて、そこから色々とおかしくなったこと。
ただでさえ母も夫を亡くしているのだから心配をかけないようにしたくてそのことは全て秘密にした。
父がもうすぐ亡くなるという時は、あれほど家族に心配をかけないようにと気をはっていたつもりだったが、父を失ったことにもより、真夜の精神状態も追い詰められていたのだ。
父が亡くなったこともあり、真夜の精神状態も考えて強いるのはよくないと思ったのか、それとも娘にまともに向き合うのが面倒になっただけなのか、母は学校に行けとあまり言ってこなくなった。
母親とは顔も合わせない。かえって心配をかけただけだ。
学校へ行かないことが一番の心配のもとになるので、本来なら母を安心させたいのならばそれこそ当たり前にように学校へ行くべきだとわかっていてもできなかった。
朝になっても制服を着ようとしない、そうすれば玄関から出られなくなった恐怖がつきまとう
スパッツを履いて、体操ズボンを履いて、その上にスカートを着てという三段階も面倒だ
もう鞄の中の教科書を時間割に合わせることもできなくなった。
母は口論の末、結局は母も仕事が忙しくなってあまり娘にかまってやれないのか真夜のことは放置状態だ。
どちらにせよ母は仕事であまり家にはいない。真夜にとってはその方が気が楽だった。
ただ家でだらだらして時間が過ぎていく。
家にいればいいのならテレビや家族共用のパソコンでインターネットも好き放題楽しめるかと思いきや、学校に行ってないのにこんなことをしててもいいのだろうかという罪悪感の方がつきまとい、心から楽しむことはできなくなった。
スマートフォンは学校に行かないのなら必要ないと解約されてしまった。学校へ行かないなら利用料金を払うのももったいないということだ、
どうせ真夜にとっては連絡をしてくる友人もいないのだから、それでもいいかと思えた。
今から学校に行っても、どうせ居場所などないのだから。
カレンダーの日付を見て真夜はふと思った。
今日は本来ならば期末試験の日だ。その一日目である。
試験は二日間にわたって行われる。
少し前に担任教師が家に持ってきたプリントにそう書いてあった。
「そうだ、今日だけ行ってみようかな」
期末試験は授業ではなく、ただ答案用紙に回答を書いていくだけだ。
周囲の生徒と話すこともなだろうし、楽かもしれないと。
衣替えで夏服の季節になり、真夜は去年の夏服を引っ張り出した。
もしかして、今日一日だけ学校へ行ってみれば何か変わるかもしれない。
この日を境にまた学校へ行ってみようという気持ちになれるのではという淡い希望を抱いた。
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