逃げ場を求め
連絡から5日後、最寄り駅のロータリーに結子はいた。
持てるだけの荷物をキャリーバックに詰めてかなたを待つ。
車が到着すると運転席の窓が開き
「あら、あなたがかなたの彼女さん?」と優しい顔でかなたの親が声をかける。
「初めまして。ネットではゆい、本名では結子と申します」
「ちゃんと挨拶できていい子ね~。さ、後ろ乗って!」
結子の親とは正反対の対応にうっすら涙が出る。
後部座席にはかなたが座っていた。
実際に見るかなたはとてもかっこよく、病んでる要素は見た目からも感じない。
「怖かっただろう、一旦僕の家に逃げておこう」
その言葉に結子は頷いた。
ふと頭をよぎる。
かなたは何のために病みアカウントを作成し、私を助けたがっているのか。
もしかしてと思い記憶を辿り、かなたに耳打ちする。
「…ねぇ、もしかしてかなたって中学の時に転校で離れ離れになった、奏斗?」
すると顔を赤らめ
「あぁ…奏斗だ。久しぶりだな、にしてもこんな形で再会するなんて思ってもいなかった」
奏斗と結子は幼馴染で幼稚園時代からよく遊んでいて、周りからは恋人同士なのではと噂されるほど仲が良かった。
「久しぶりだもんね~、おばさんも旦那と再会した頃のことを思い出すわ」
運転しながら思い出を語ろうとする親に奏斗は
「集中してほしい…思い出話は家に着いてからだ」
「奏斗は真面目さんなんだからぁ」
私もこんな家庭でずっといたかった。
でも【とあること】がきっかけで家庭崩壊した。
だからこそ今【逃げ場】が必要なのかもしれない。
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