とある少女勘違い系()は旅をする。

月冴ゆる

第1話 反抗期少女は困惑する

「旅をしてきなさい。」

「は。」


ニシキ トア リフィア 14歳。リフィア家の令嬢。

今さっき、父の執務室へと呼び出され 


この度、絶賛反抗期中の私は大好きな両親から、勘当宣言をくらいました。


場が謎の沈黙を告げていると

「いや〜。トアはもう16だろう。そろそろ独り立ちするのもいいだろう。」

とハハハと軽快に笑い飛ばす父。

 確かにこの国の成人は16歳だが、それにしても普通は旅行してこいと投げ出さないだろう。呆然とするトアを気にせず、

「そうよ。私も旅行していて貴女のお父様に出会ったのよ♡」

と母。いや、今その話よくないか?と思いつつ。

「え、なんで、ですか?」

(愛想、つかれちゃった。のかな?)

持ち前のポーカーフェイスで涙が出てきそうな紫苑色の大きい瞳をぐっと堪えながら最近の自分の行動を振り返る。お母様が話しかけてきても「ふ~ん」といってすぐに出ていったり、両親が一緒に出かけましょうと誘ってきても「面倒臭い」と断ったり。

(思い当たる節がありすぎる。)

過去の自分を殴ってでもこの愚行を止めさせたい気分だったが、生憎それはできないので、せめてでもきっと最後の願いであろう、父と母のこの願いを聞き入れることにする。

「わかりました。お母様。お父様。」

心なしか父と母の目が冷たい気がする。

ここまででもうトアのライフはゼロに等しい。

そこでここに母から−100ダメージ。

「あ、もう旅行の手配は済ませているわ。あとは好きな洋服なり、小物なり持っていきなさい。」

(もうすぐに家を出ていってほしいのか。)

やばい。此処で号泣したい。だが、それは迷惑になってしまうと思い、表情筋をフル活用して何時もの済まし顔をする。

「一刻もは、やくでますね。」

声が出ないが押し出すがほのかに声が震えている。


「トア?どうかし」

お母様が言い終わる前に父の執務室から出ていく、

もうきっと私は用がないやくただず、なのだろうか。

一応これでも名の有る貴族の令嬢という身分だ。

だが兄である、ニシキ ロート リフィアがいるためあまり気にしておくほどの存在ではないのかもしれない。と思うと今まで堪えていた涙が瞼から溢れてでてくる。


自分の部屋に帰り、旅支度をしていく。

持って行く服や、必要な物を分けながら荷詰めする。

裏葉色のワンピース。白菫色の手触りの良いシルクのブラウス。いつも使っている苺色のルージュ。これは母と一緒にデパートに行った時に似合うと言われ買ってもらった物だ。よく母から

「雪兎さんみたいねぇ。似合うわぁ。」と言われていた。

(.....代わりに、こっちのリップ持っていこうかな。)


「.....あ。」

持っていこうか迷う。

ドレッサーの上にあったのはこの世で一番大切家族との写真を入れているネックレスだ。しかも蓋を開けると3Dに写る魔法がかかっている仕様だ。今までツンツン反抗期をしていたためつけていなかった。

(お母様とお父様に逢えないならこれくらい持っていてもいいよね。)

パチンッと華奢な首へとつけた。


そうしてできた荷物が詰められた大きめのリュックを背負う。

「それでは行ってきますね。」

母から今いる領地から離れた国の中でも栄えているギルドのある都行きの列車のチケットをもらう。

「早いわねぇ。ちゃんとお手紙送ってね。」

ふふふと穏やかに笑う母。

「ちゃんといろんな場所を見ていくんだぞ。旅からえた知識は一生物だ。」

と父。

それがいつも通り過ぎて酷く困惑してしまう。

(もしかしてこの旅行も私のため....?)

「うん。行ってくるね。」

いつもより少し胸が痛むような気がするが、微笑みながら挨拶をする。もしもこの旅が両親からのプレゼントだとすればしっかり受け取らないといけない。

説明しよう。人間は心がおれに折れまくり、踏みつぶされると一回、回って希望を見出すのだ。

「「行ってらっしゃい。」」

そう言われ、リフィア家の門から出た。



今。とある少女が旅に出た。



物語登場人物〜


ニシキ トア リフィア

好きなものはパパとママ。親っ子な14歳。

最近は少しツンツン反抗期中。だが勘当?事件があり過去の自分をぶん殴りたくなった。

SAN値チェックに入るかもしれないけど入らないかもしれない。


パパとママ

娘と息子LOVEの親。モンペではない!が、べったりしている。出逢いはこちらもまた思春期反抗期の家出で出逢った。

娘ちゃんが勘違いしてるぞ!!気づけ!!

当の本人は自分たちに会いたいくないお時間だと思ってこの旅行をプレゼント。


ニシキ ロート リフィア

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