第19話

「はあ? 黒板消しぃ? なんやそれ」


「だ、だから! 黒板がキレイな方が、先生も絶対気持ちよく授業ができるでしょ? で、頑張らなきゃなーって。……はは」




ダメだ、我ながらムリがある!




「お前……やっぱり今日、変やぞ」



ギクッ。


不思議そうに顔を歪める怜佑に。



「な、何が?」



ドキリ視線の定まらないあたし。



……ああもう、何でこんなタイミングの悪い時に帰ってくんのよ、バカ怜佑ぇー!



ほどなくして。



「まー、頑張ってな」



怜佑はあたしの肩をポンと叩き、席へと戻っていった。



……はぁ。


とりあえず、ごまかせた、かな?




「梓ちゃん」


「ん?」


「わ、私も手伝うから」


「うん……ありがとね、なずな」




この日、2年4組の黒板は、一日中どの教室のそれと比べても、一際眩しかった。

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