第11話

***



辺りはすっかり暗くなっていた。


家に帰ると、リビングにいたお母さんが「ほんと仲良しねー」なんて、頬を緩めながら言ってきた。


あたしと怜佑のことだ。



ついさっきまで、滝川家にいたあたし。



『俺ん家寄ってけや』



怜佑がそう言ったから。



あ……別に、深い意味とか、そういうロマンチックな意味とかは一切なくて。


アイツがそう言ってきたのは、あくまでケーキを食べるため。


悲しいけど、アイツにとってあたしは、言葉通り“ただの幼なじみ”なんだ。



怜佑の部屋でケーキを食べて、ついでに宿題もした。



おいしかったなあ……。


モンブランもショートケーキも、どっちも最高だった。


でも強いて言えば、あたしはモンブラン派、かな?




ドサッ。


お風呂に入ってスッキリした後、あたしは自分の部屋に入るなり、背中から思いきりベッドに倒れた。



「……ん?」



なんか、踏んだ?


背中に覚えた違和感に、すぐに身体を起こす。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る