第8話

「だ、だってお前ら、部活終わった途端すぐ帰ってったじゃん? だから、その」


「気になってついてきたってわけね」



あたしが呆れたように呟くと、ナツは「なははっ」とぎこちなく笑った。



「でもまさか、二人でケーキ屋に寄るためだったとはなぁ」


「は? ちゃうちゃう」



へっ?



「俺はな? ケーキなんか、全っ然興味なかってんけど……」



なっ。



「梓がどーしても寄りたいーって、毎日毎日しつこく言うから、優しい俺がついてったることにしたんや。しゃーないなあって」



カチン。



「しつこくて悪かったわね! この鈍感バカ男ー!」


「はぁ? トロいお前に鈍感言われたないわ、ボケェ!」


「トロくない!」


「トロいわ。なかなか決められんくて、結局どっちも買ったん誰ですかー」


「くっ……」



なによ、怜佑のやつ。


そこまで言わなくてもいいじゃない……!



始まる睨み合い。


バチバチと散る火花。


互いに譲らぬ勝利の行方。



これは、言うなればそう──。

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