第7話

「ただの幼なじみだから!」




〝幼なじみ〟



あたしと怜佑の関係は、それ以外の何物でもない。


12年前、怜佑があたしん家の向かいに引っ越してきた時から変わらない、紛れもない、事実。


なんだけど──。



「そーや。それ以外にありえへんやろ?」



むっ。


なんか怜佑に言われると、ちょっとムカつく。




「はいはいそうですかー」



ナツはあたしたちの反応がおもしろくないのか、つまらなそうに唇を尖らせた。


とりあえず諦めたみたい。


ホッと一息ついた、その直後。



「それより吉野、お前家こっちやっけ?」



鋭い瞳が、不服顔の彼を一直線に見下ろした。




「そっ……それはぁ……」



さっきまでと一転。


ナツの額には、冷や汗が浮かんで見える。



言われてみれば。ナツの家、確か逆方向だったはず……。

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