第3話

「もう、そんな悩むんやったら両方買ったら?」



……両方?


サラリと出された提案に、瞬きをする。


うーん、両方かー。


確かに、どっちも食べたいけど。




「2個は、さすがに罪悪感が湧くし……」


「それやったら──」



しょんぼり肩を落としたあたし。


そんなあたしの耳に届いたのは、いつもと変わらぬ素っ気ない口調。


……だったんだけど。




「ほ、ほんとにっ!?」



あたしはそれを聞いた瞬間、思わず素っ頓狂な声を上げてしまったんだ。



だって、



『それやったら、俺と半分にしたらいーやん』



って。



怜佑が言ったんだよ!


あの怜佑が!




怜佑はいつも口が悪くて、冷たいのが基本スタイル。


だからたまーにこんな優しいところを見せられたら、ね?

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