第2話

「怜佑!」



ま、まずい……。キレかかってる……!



怜佑──滝川たきがわ怜佑れいすけは、あたしの同級生で同じ高校のクラスメイト。


見上げるほどに背が高く、髪は絵の具みたいに真っ黒で──。



「いつまでかかっとんねん」



そう!


一番の特徴は、この関西弁。


5歳まで兵庫県に住んでいたせいか、もう染みついて抜けないんだって。



案の定怒鳴られたあたしは、うぐっと顔をしかめる。



「だって、どっちもおいしそうなんだもん!」



言いながら振り向くと、もともとぱっちりとした少しつり気味のその目が、平たくなってあたしを睨んでいた。



はいはい、すぐに決めますよ~。


ぷくっと頬を膨らませるあたし。



すると、怜佑はそんなあたしを見るに見兼ねたのか、



「はあ」



大きな大きな溜め息をついてみせた。



いや、訂正。


息なんてかわいいもんじゃない。


あれは間違いなく、声だった。

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