第11話

「えっと……あたしの顔、何かついてる?」



まなみんが訝しげに、じっとこっちを見ている。



「いや、ほんと別人だなーって思ってさ」


「別人?」


「うん。今の沙弥、ありえないくらいダサいもん」



だ、ダサいぃーっ!?


あたしはショックのあまり、声も出せずに固まってしまった。



まあたしかに今のあたし、自分でもかなり地味だとは思うけど……。


ありえないくらいダサいって、ちょっと酷くない!?




「何言ってるの愛実ちゃん。今の沙弥ちゃんだって、充分キュートよ?」



ああっ、涼子ちん……!



まさに聖女だ。


柔らかに微笑む彼女に、あたしの心はジーンと震える。



「うぅ、涼子ちーん! まなみんがいじめるのー」


「いじめって……。むしろ私、褒めたつもりなんだけど?」


「どこが!?」



貶されてるとしか思えないんだけど!




「だって、絶対秘密なんでしょ。あのこと」


「……え?」

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