第3話
『……決めた。あたし、引退する』
『は?』
ポツリ、呟くようにそう言うと、日野っちは一瞬だけ目を丸くした。
『自由に学校も選べないくらいなら、その方がマシだもん』
『冗談でしょう……?』
『本気よ! これから社長に電話する』
カバンを掴み、急いでピンクのケータイを取り出す。
画面をタップしようとした、その時。
『仕方ありませんね』
日野っちの低い声が、それを阻んだ。
見ると、彼は覚悟を決めたような表情をしている。
『気は進みませんが……今回は、特別に許しましょう』
『わぁっ……!』
『ただし』
へ?
『いくつか、条件があります』
『条件……?』
『すべてちゃんと、守れますね?』
あたしはゴクリ、喉を鳴らしながら息を呑み込んだ──。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます