第2話
◇
『いーーやーー! 絶対、いやぁーーーっ!』
中学3年の夏。
なんの前触れもなく切り出された“その話”に、あたしはひどく声を荒らげた。
“あなたの通う高校はもう決まってます”?
しかも、修平(しゅうへい)とは別の学校ですってぇ?
そんなの、絶対ありえない!
『自分の進路くらい、自分で決めさせてよ!』
『悪いですが、これがウチの方針なので』
『修平と同じ高校じゃなきゃヤダ!』
『無理です。そもそも、あなたの頭脳では……』
頭脳では、なんなのよ?
『日野(ひの)っちの意地悪!』
ぷくっと頬を膨らませたあたしは、スーツ姿の彼を鋭く睨みつける。
しかし日野っちはというと、怯むどころか呆れた顔をして。
『はぁ……』
わざとらしく、盛大に溜め息をついてみせた。
むぅっ。
あたしだって負けないんだから!
『ケチ! わからず屋! 堅物メガネ星人!』
ポカポカと腕を殴りながら、不満をぶつける。
『あたしは兎月学園(とげつがくえん)に通うのー!』
『沙弥さ──』
『特進は無理でも、普通クラスならあたしだって通えるでしょ?』
『わがまま言わずに、言うことを聞いてください』
『フンッ』
誰が聞くもんですか!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます