溺愛してくる婚約者の、私を罵倒する心の声が聞こえます!
@Tma27
第1話
『今日も変わらず不細工だな、不幸だな……』
「えっ……?」
私、アイリス・ライトウェルは、婚約者のミハイル・ビンテット様とのお食事会の日でビンテット公爵家に来ています。ミハイル様はビンテット公爵家の嫡男であり、15歳の最年少で帝国魔法騎士団の騎士様です。キラキラと宝石みたいに輝くプラチナブロンドて、ミハイル様の性格のように真っ直ぐで柔らかいサラサラの少し長めの髪、透き通る白い絹肌に中性な顔に深緑のエメラルドみたいに輝く瞳。鍛えられた筋肉質な身体だけれど、その高い身長のおかげでバランスの良く長い手足の完璧なスタイルを持つミハイル様は、このアセント帝国中の令嬢達の憧れの存在なのです。理想の男性NO.1なのです!
我がライトウェル侯爵家とは代々縁深しで、同じ歳のミハイル様とは産まれた時から一緒に遊んでいた幼馴染なのです。そして、お互いを愛し合い結婚を誓い合ったのです。
今日は来月の婚約式に向けての話し合いも兼ねてのお食事で、いつもの様に応接間でミハイル様をお待ちしておりました。迎えに来たミハイル様の笑顔にウットリ見惚れていると『今日も不細工だな、不幸だな……』っとの声が聞こえたのです。
「どうしたんだいアイリス?ようこそって言ったんだよ」
『ああ、なんて
「しゅう……わい……」
「アイリス、顔色が悪いよ?体調が悪いのかい?」
『不細工な醜女の顔が、顔色が良くて、より図太そうに見えて醜いな』
「……ミハイル……さま?」
いつも「綺麗だ」「可愛い声」「儚げで守ってあげたい」
って言ってくれるのに……、不細工だなんて……。
ミハイル様がそんな事を言うなんて……。
「そんな泣きそうな顔をしてどうしたんだい⁉︎」
『嬉しいな顔を……、本当に醜いな!』
なんでそんな事を言うの⁉︎酷いわ!
醜いって……。酷いわ……。
悲しくなり思わず涙が流れて、心配した顔をしたミハイル様が私の頬に手を伸ばしてきたけれど、触られるのが怖くなり思わず手を弾いてしまった!やってしまった!
恐る恐るミハイル様を見上げると、私に手を弾かれて驚いた顔をしている。
「アイ……リス?」
『アイ……リス?』
「わ、私、帰ります!」
私を呼び止めるミハイル様の声を振り切り、着ているドレスを捲り上げて力一杯走って逃げると、馬車で一目散に我が家へ帰りました。
馬車に揺られながらミハイル様の言葉を思い出してしまい涙が流れると、一緒に乗っているメイドのセリアが「お嬢様」と、心配した顔をしてハンカチを渡してくてたその優しさに、一度流れた涙は止まるとこなく、セリアに抱き付き声を上げながら泣き出してしまった。決壊したダムの如く溢れ散々泣いて疲れたのと、ミハイル様の言葉での心的ショックで、私は体調を崩して1週間も寝込んでしまった。
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