第6話


潮風に煽られる髪の毛を耳にかけ、砂浜に座り込む。




「ーー母なる海。」



それは、誰が言ったのか。




寄せては返す目の前の海は、どこか神秘的で、朝日を浴びてきら



きらと幻想的に光輝いていた。




「綺麗。」




そんな海を、目を細めて景色に見いる。




こんなにも綺麗なのに、一度人へ牙を向ければ恐ろしい存在となるなんて考えられない。




それでも、本当に恐ろしい存在を自分は知っている。




「・・、全て、」



忘れられたら、良かったのだろうか?



ーー過去も、今も、全ての忌わしい記憶を忘れてしまえれば。



そうすれば、もっと違う未来があった?

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