クラスのボーイッシュな美少女に嘘告しろと命令された結果、案の定振られたが翌日からなぜか弁当を一緒に食べる仲になった
テル
第一話 いじられキャラ
友達が欲しくないと言っているわけではなく、少数のメンバーでゆったりとした学校生活を送りたいのだ。
馬鹿騒ぎはせず教室で少し談笑しながら過ごす、要するに目立ちたくないわけだ。
しかしそんな学校生活が送れなくなったのは間違いなく陽キャの
普段からチャラついていて、はっきり言ってうるさい。
なぜそんな浩也と幼馴染で同じ高校に入ることになってしまい、同じクラスになり、付き纏われているのか。
これも一種の運命なのかもしれない。
無論、そんな運命望んでいないわけでこれ以上関わりたくはない。
ただ、浩也がそれをさせない。
「見てみて、これあいつの真似」
「ぷはっ、ガチ似てる」
「えぐっ、お前モノマネの才能あるだろ」
浩也がクラス、主に陽キャ組が嫌っている人の顔真似をすると周りの人もそれを見て笑う。
人を馬鹿にして何が楽しいのだろう。
それ以前にそういった行為をその人が教室にいる中でやるのは性根が腐っている。
(......ていうか僕の机の周りでやるなよ)
「友利も見ろよ、あいつのモノマネ。面白いだろ?」
嫌な気分がしたので机の部分をじっと見ていると浩也が声をかけてくる。
はっきり言って面白い以前に嫌悪感しか湧かない。
どうして周りに人たちはこれを平気で笑えるのだろう。
「何も面白くない。人を馬鹿にするモノマネで笑いとって楽しいのかよ」
「......は?」
苛立っていたので思わず口を滑らしてしまう。
冗談、なんて言えるはずもなく友利はすぐに言ったことを後悔した。
「じゃあ、お前は面白いことができると......みなさーん、注目! 友利が一発芸するそうでーす!」
「っ......」
友利は大きな声でそう言う。
するとクラスの注目が一斉に友利に集まってしまう。
(こいつ......よくそんなことできるな)
「ほら、行けよ、友利」
「お前......」
「俺より面白い芸できるんだろ?」
友利は何も言い返すことができず、渋々教壇まで歩いて行く。
だから浩也に関わるのは嫌いなのだ。
いじられるし、常にご機嫌取りでいなければこうした行為を強制させられる。
カースト的に上の浩也に友利は逆らえない。
そうして歩いているといつのまにか足元がふらついていた。
気づけば机の足に自分の足を絡めてしまい、案の定前からすっ転ぶ。
「いってて......」
友利がぶつけた箇所を手で押さえながら立ち上がるとクラスはみんなの笑いで包まれた。
そこでチャイムは鳴った。
「それが一発芸かよ」
「友利は素の状態が一番面白いわ」
幸いなことにクラスにはいじられキャラとして馴染んでいる。
故に浩也以外にいじめられている訳ではない。
(......ネタなかったし、助かった)
転んだこと自体は痛かったが一発芸はやらなくて済んだと友利は安堵した。
***
昼休み、友利は一人静かに教室で本を読んでいた。
今は浩也たちもどこかへ行ったようで、安心して本を読むことができる。
唯一の安息の瞬間だ。
しばらく本を読み進めたところでクラス内の声が段々と大きくなってきた。
どうやら昼食を食べ終えた人が戻ってきたりと人が増えてきたらしい。
(集中できないし、読み進められるのもここまでか)
友利はそう思い、栞を本に挟んで閉じた。
すると友利の視線の先に二人の美少女が映る。
一人は
身長は女子の中では高く、スタイルも良い。
髪は長髪で、顔はもちろん、特にパッチリとした瞳が特徴的だ。
性格の問題もあり、本人の周りは常に輝いている。
そしてもう一人は
天音と常に一緒にいる女子だ。
幼馴染のようで瑞樹も可愛い部類に入る。
身長は小柄、髪はショートでボーイッシュだ。
口調も少し男っぽく、男子ともよくつるんでいる。
瑞樹も可愛いとは思うのだが周りの男子は天音にばかり目が行っている。
結果、男子が姉御と呼んで瑞樹に恋愛相談を持ちかけているところをしばしば見かける。
「でさ、前の日曜日にカラオケ行ったでしょ? その近くに新しいスイーツ屋できるらしいし、今度行ってみない?」
「おー、いいね、行こ行こ」
話している間、二人はずっと笑みを浮かべている。
友利からは心から笑っているように見えて人生が楽しそうだ。
一方で友利は静かに学校生活を送りたいと考えたが浩也のせいでそれもできず望まぬいじられキャラ。
学校自体は楽しいが青春を送れているかと言ったら本人からしたらそういう訳でもない
二人を見ていると、二人のようにとまではいかなくても自分なりの青春は送りたいと思ってしまう。
そんなことを考えていると話している二人のうち、瑞樹と目があってしまった。
目を逸らそうと友利は思ったが目があった瞬間、瑞樹にニコッと微笑まれてしまう。
友利はどうしていいか分からず、会釈で返しておいた。
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