ろくでなしと笑わない天使
吉高 樽
第1章 見えるようになる
第1話 余命宣告
『本日第1
2024年10月5日土曜日、時刻は朝の9時半頃を示す
薄暗い1DKアパートに敷いた
来月には
そして
もうあまり
——朝方に生まれたってことは、あいつもその嫁さんも眠れず必死な一夜を過ごしていたってことだよな。
——だからどうというわけじゃないけど、それに引き換え俺は本当に、何をしてるんだか……。
「へぇー、
不意に聞き慣れない声が右耳に飛び込み、驚いた一翔は弾かれるように半身を起こした。
そして
「なっ…なんだよ、あんたは?」
だがそのような平凡な問いかけをせずにはいられないほど、目の前の女性は異質だった。
何よりも露出した背中からは大きな青白い翼が
明らかにコスプレの域を超えた迫力に、一翔は一様に不審者と呼称し
一方で当の女性は
「…君、私が見えているの?」
女性がぽつりと発した一言に、一翔は更なる混乱を覚えた。
不法侵入者の
「…見えているから、
「そう。じゃあ、何に見える?」
一翔は
何ら動じることなく居座り、試すような態度を構える彼女に対して、一翔の混乱が徐々に
彼女が何に見えるか、それ自体に答えることは
だがこれ見よがしに広がる翼に
「……天使のように見える。」
ただし頭部に
「…そう、君にそう見えているのなら、そういうことでいいよ。」
だが『天使』は表情を変えることなく、
「なんだよそれ。…大体、いつからここに
この場の主導権を奪われないよう、一翔は煮え切らない感情の
彼女の膝元に転がっているスマホの画面には
その薄気味悪い感覚を
「いつからって、最初からだよ。君がこの世に生まれたときからずっと。君がそれに今の今まで気付かなかっただけ。」
だが『天使』の平然とした釈明は、薄気味悪さをより一層肥大化させる
「べつにそのこと自体は何も特別じゃないんだよ。この世に生きる人間には例外なく、私みたいな存在が
抽象的な事柄を抽象的に説明されているようで思考が
「…じゃあ、なんで俺にはあんたが見えているんだよ。」
するとそのとき初めて、『天使』の
「本来認識されるはずのない存在が見える唯一の例外…それは、
そうして『天使』は一息付くと、
「
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