箱庭


 私はただそこに座っているだけだというのに、いったい何がそんなに珍しいのでしょうね、人間たちは代わる代わる私の前に立ち止まって、じっとこちらを見つめたり、口元に手をあてて考え込むような仕草をしてみせたりするの。彼らと同じかたちをしているというのに、いったいどうしてかしら、皺が寄ったスカートの裾をほんのすこし直すことすらできずに、私はただ、彼らを見つめ返している。いつもそうよ。

 照明は私の肌にきまった陰影を作るの。それをが私をいちばん美しく見せる角度なのだと人間は言ったわ。美しい、美しいと人間は口を揃えて言うけれど、何のことだかさっぱりわからないの。彼らの鳴き声か何かかしら。私がここへ移るよりもずっと前。お天気の一つもお目にかかれなくなってしまうよりもずっと前に、そよ風に乗って、小鳥たちがこうやって、揃いも揃って同じ言葉で鳴くのを聞いたわ。

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