第3話 週明け
さて、月曜となり学校に向かっているわけだが、憂鬱なんて気持ちは一切ない。
西園さんと会うのが気まずいなんて感情なんて、大谷選手もびっくりなピッチングで投げ捨てたさ。
何故かって?...そりゃ、姉ちゃんのドームツアーの開催が決まったからさ!!
え?おめぇの姉ちゃんって誰だよって?
しょうがないにゃあ、うちの姉ちゃんはな、今最も熱いVtuberの『
姉ちゃんは、Vtuber界の歌姫と呼ばれ、さらに、V史上初「F〇rst Ta〇e」にも出た人でVtuberを全然知らない人も曲を聞いたことがある。というくらい影響力のある人だ。
俺の愛する家族がそんな偉業を成し遂げ、ドームツアーの開催まで決定したとなれば狂喜乱舞するのも当然だな!
「いやぁ、俺もまだまだやなぁ...もっと、頑張って姉ちゃんに近づけるようにならんと!」
肩に衝撃が走り、恭弥に声を掛けられる。
「おう!響、何を頑張るんだって?」
「恭弥か、おはよう。いやな、なんか俺ってゴミカスだなって思ってな」
振り向きながら返事をすると、
「朝から何言ってんだ?それより、金曜日にさぼっただろ?それで何故か西園さんがブチギレていたぞ」
「うわっ、ダルメシアンだわ...ワンワン...」
もう帰ろうかな...
「響よぉ~。一体何したんだよ?あの西園さんが発狂するなんて相当だぞ?」
まぁ、学園の天使なんて言われているくらいだしな。
「木曜にな、理不尽クソ痛説教をブチかましただけよ」
「それはブチギレるわ。しかも次の日ソイツは学校バックレてるしな」
あれ?そういえば西園さんは俺が学校バックレたのを知ってるんだ?
木曜は声カスカスだったのに怒鳴って喉痛めたところ見られているから、普通ならそれで休んだって思われるはずだよな?
まさか...
「なぁ、恭弥。お前が言ったのか?」
「あぁ、西園さんが俺のところに来て、お前はどうしたんだ?と聞かれたからな」
その答えを聞いて、思わず天を仰ぐ。バックレ宣言しなければよかった...
なんて、話していたら教室に到着した。なんか教室内が騒がしいな。
ちなみに恭弥とは同じクラスだ。
「おはよー!」
そう言って、教室に入る。そうするとクラスの連中が返してくれる。
近くにいた女子に何で騒がしいのか聞いてみる。
「なぁ、何があったん?」
「花咲君、おはよう。なんか神里君が付き合い始めたらしくてさぁー!!」
「あーね。らしいねぇ」
「花咲君は知っていたの?」
「木曜にたまたま知る機会があってね」
「へぇ~!ってことは!木曜には付き合っていたんだ!!」
やっぱ、樹の色恋沙汰はある程度の話題性には富んでいたようだ。樹もラブコメ主人公ほどでは無いが、普通にモテる方だしな。
俺とその女子の話を聞いて、クラスの連中が色々と聞いてくるが、「俺も詳しくは知らん」と説明した。
おっ!噂をすれば影だな。樹と...あぁ、付き合ったのは『
ちな、樹は同じクラスで天上さんは隣のクラスだ。
というより、樹よ。お前...ロリコンを否定していたが天上さんはいわゆる合法ロリじゃねか...
そう思いながら、席に着くと恭弥から話しかけられる。
「珍しいな。お前が興味を示さないのわ」
「まぁな、これよりも衝撃なことがたくさんあったしな」
「なるほどね」
なんて言いつつ、オタトークやらで盛り上がっていると、俺が今一番合いたくない奴が教室に入ってくる。
それと同時に教室も静まり返る。そう、皆知っていたのだ。西園さんの想いに、だからこそ、気まずいのだ。
「よし、恭弥。俺はトイレに避難する。お前も来るか?」
と言いつつ席を立つが、それは結果として叶わなかった。
そう、西園さんが俺を呼んだのだ。聞いたこともないような声で
「花咲君、少しいい?」
声が裏返りそうになるが、これでも俺は姉ちゃんの専属MIX師でオリ曲の仮歌を歌ってる人ぞ?耳の良さと声の使い方には自信がある。そんな俺からしたら動揺を声に出さないなんざ朝飯前だ。
「すまん。無理」
端的に答え、ダッシュしようとするが、
「ダメ。花咲君に拒否権は無いよ?分かった?」
そう言われ、先回りしていた西園さんにブロックされて腕を掴まれ連行される
「あい...」
このまま連れて行かれたら、クラスの空気が重くなりそうなのでいっちょふざけるか。
「か~な~し~みの~「黙ってついてくる」...yes,mom」
どうやら、今の一連で少しは空気が軽くなったようだ。最後のダメ押しだ!
「I'll be バァァァァァァァァァァァック!!!!!」
「静かに出来ないの?」
「あい...静かにします」
似たやり取りを繰り返すことで、一種の漫才にすることが出来たようで笑っている奴もいれば合掌してくる奴もいる。
まぁ、これで大丈夫でしょ。
さぁ、何を言われることやら。腹括っときますかね。
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