第29話スズメバチ
Aランクだろうダンジョンに、リンリンと2人で入った。
リンリンの実力を知るには、影拘束を見て判断をしたい。
リンリンも乗り気で楽しみにしている。
他のメンバーの3人は、ゴーの中で休憩中だ。
ゾンビ相手に魔法を使い過ぎてヘトヘトらしい。
「リンリンにとってここは、強敵だが影拘束で影法師にすれば、力強い仲間になるハズだ」
「二郎さまにも言われました」
「え!そうなの・・・」
「はい」
そんな話をしたからモンスターが出たのどろう。
急に音が鳴り響くが聞き覚えがある。
「ガァッ、カチ、カチ、ガァッ」はスズメバチの警戒音だ。
音のする方向を見上げたらズズメバチの大群が空を・・・
「リンリン、影拘束で捕まえろ」
「はい」
え!リンリンが発動した影拘束は、凄い勢いで1頭のズズメバチを捕らえた。
そしてグングンと引き寄せて影に引き込んでいた。
めちゃ速い。
「リンリン、広範囲に影拘束を発動しないと、ズズメバチがこっちに来てしまうぞ」
「え!私は、複数の拘束なんて無理です・・・」
そんな・・・理由を聞く暇はない。
俺もスズメバチに向かって影拘束を発動した。
スズメバチの影から影が伸びて掴んだ。
あっちでも向こうでもスズメバチを掴む。
羽も動けないのに、抵抗し続けるスズメバチ。
「凄いです師匠・・・私には出来ません」
「嫌々、諦めたらダメだぞ」
124頭を拘束できた。
逃げたズズメバチは、リンリンが拘束して影法師して放った。
その数は、3頭だ。
その黒ズズメバチは、全長が6メートルもあった。
アゴをカチカチさせて、何でも噛み切る威力があり・・・羽を「ブーン」と鳴らしている。
俺は、スズメバチを引き寄せるには、後2分は必要だ。
「リンリン・・・黒狼の時も、こんな感じなのか・・・」
「はい、二郎さまに守られながら1体、1体、拘束しました」
「複数の拘束を試したことはあるのか・・・」
「ありません」
これはダメパターンだぞ。
ここで諦めてはダメだ。
「2頭の拘束を解除するから2頭を同時に拘束しろ。やる前から諦めたらダメだ」
「はい、やってみます」
なので2頭を解除して放った。
あああ、伸びた影が空中で迷ってるぞ。
やっぱ逃げられている。
そもそも影が1つしか伸びてない。
「リンリン、相手は2頭だ。影も2つ放て」
「やってみます」
リンリンが必死に気張ってるが・・・2つの影が伸びることはなかった。
122頭の黒スズメバチを使って誘導してもダメだった。
これって、あれだ。
影拘束に癖がついて、治る見込みがない。
「仕方ない・・・あの2頭を拘束しろ」
「1頭、1頭で良いですか・・・」
「ああ、それでいいぞ」
それにしても速い拘束だ。
一瞬で捕まえて、ギュッと引き寄せて影法師にしてるぞ。
それはそれでアリかも・・・強敵なモンスターなら・・・速く影法師にして戦わせる。
そんな戦法があってもいい。
地上に出て、黒スズメバチを放った。
その数1万。
10日後には、オーストラリア全土のゾンビが死滅した。
全てのゾンビが首を噛み切られて頭がない。
黒スズメバチは、頭をムシャムシャと喰っている。
何故か知らないが脳が美味いらしい。
シドニーのゾンビ退治が最後の報告だった。
やっぱ冒険者だけでは、荷が重過ぎたようだ。
シドニーから出て討伐した記録がない。
結局、俺らがゾンビを倒した。
メルボルンには、早くも入港した船から第1陣の移住者が降りて来た。
グレートディバイディング山脈では石炭が採れる。
北西では鉄鉱石が、西部では金が産出する。
それが日本政府の目的だ。
なので俺は、日本へ影に入って移動した。
待っていたのは、建設重機の運搬だ。
それも魔石で動く重機。
ああ、魔石トラクターも運んだ。
日本では、オーストラリア移住がブームになっていた。
開拓した土地が自分自身の名義になるからだ。
だから都会の若い夫婦が応募しているらしい。
酪農は酷い有様だよ。
多くの牛舎に閉じ込められた牛は、餓えで餓死していた。
ただ逃げ出した牛は、草を食って生きていた。
ゾンビが人間しか襲わなかったからだ。
なので野犬が野放しだ。
生き残った牛、羊を増やすのも大変だろう。
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