第14話影法師5



『登別ダンジョン』が話題になっていた。


Aランクで覚醒者10人で挑んで、討伐依頼を成功させたからだ。


同じAランクを多い人数で挑んだのに、失敗に終わった覚醒者達がいたから尚更なおさらだ。


これって話題になる運命のように、俺を導いている感じだよ。

だってスマホで撮った動画がネットで流れていた。

100万以上の再生回数だよ。


ティラノサウルスと黒いティラノサウルスが戦っているから・・・ばえる。

『黒いティラノサウルスが人類の味方』そんなテロップが表示されたら誰もが見るよ。


コメントには・・・


「頑張れブラックティラノサウルス!!」


「ティラノサウルスを喰い殺せ!」


「黒ちゃん、応援してます」



それにしても、いったい誰が撮ったんだよ。

あの9人の中の誰かなのは、わかっている。

犯人によって俺の情報がダダ洩れだよ。


責任者出て来い!と言いたくなったぜ。




またまたダンジョン管理局に呼び出されたよ。

ああ、嫌だ。



「この動画は、本当のことですか・・・」


「は・・・はい」


「なぜ、あの時に言わなかったのですか、誠に遺憾に思っております」


「え!聞かないから・・・言うのを忘れてたんですよ。忘れていて申し訳ありません」


これで罪にとえないかも・・・

人間忘れる事ってあるよね。

それは本人しか分からないことだから・・・



「それでは政府からの依頼を受けてもらいます。勿論、拒否出来ますが・・・色々な面倒なことが家族に訪れるかも・・・」


「それって脅しですか・・・」


「そう受止めるのも勝手です。私どもは関知しないでしょう」


「分かりましたよ。やればいいだけの話ですよね」



さいたま市にAランク『さいたまダンジョン』があった。


行くのは、前回のメンバーと追加メンバー10人だ。

動画を撮った犯人は、今だに分からないままだよ。

その犯人探しをするために、前回メンバーの参加を希望すると言たぜ。


ダンジョン管理局も快く引き受けてくれたよ。

きっと探しだして、動画を撮った仕返しをしてやる。



『さいたまダンジョン』には、俺らと同じ日に40人で挑んだらしい。

同じAランクでも都市を重要視した。

そんなダンジョン管理局の思惑は、見事に外れた訳だ。


5人が死亡して重傷者5人を出して逃げ帰っていた。


10人の俺らを何だと思ってんだ。



「なんで私が危険な任務に・・・」


「文句を言っても仕方ない。ダンジョン管理局が言うことを聞くのも俺達の義務だぞ」


依頼内容は、ドラゴンに対抗する武器をドロップするか探しだすことだった。


実力者な追加メンバーだが、前回のおっさんがリーダーで文句タラタラだよ。

俺があえてダンジョン管理局に頼んだ。


上から目線の奴って嫌いなのが本音だ。



「ティラノサウルスが来たぞ。早く出せ」


相変わらずなおっさんだ。


「いでよテラとウル」


俺の影から無理やり押しだす。


「奴を殺せ!」


テラとウルが楽しそうに走りだす。


テラが速く、その勢いで回転して尻尾でティラノサウルスの足をすくった。

あれでは立っていられない。


そのまま「ドダンッ」と横転している。


そのティラノサウルスをウルが踏みつける。

「ボキッ」と足が折れる。


テラとウルに蹴られ踏まれるティラノサウルス。


ああ、見てられない。

最後には何度も踏まれてぺしゃんこだよ。


「おい!いい加減にしろ」


ピタリとやめて振返り、おっさんを見るテラとウル。


『攻撃しなくていいの』そんな顔だ。


のっそのっそと俺の所へ戻ってきた。


「ああ、よくやったぞ」


リーダーは、消えた場所を掘り返して魔石を見つけた。


「手間を掛けさせやがって・・・」


追加メンバーの10人は、我を忘れるぐらいに驚いていた。


「あれって味方なの・・・」


「あんた知らないの味方よ。最初は怖いけど慣れよ慣れ」



「そろそろ行くぞ・・・アプリだとあっちだ・・・空飛ぶプテラノドンに注意しろ。前回はプテラノドンに捕まって空から落とされたらしい。風魔法を使って飛んでいるから風攻撃があるかも・・・」


ああ、それで負けたのか・・・



あ!地面を影が横切った。

俺は上を見て「プテラノドンだ!!」


皆も見やげる。


俺は、地面の影を追っている。

1番大きくなった時に影拘束を発動。


プテラノドンも危険を感じて舞い上がる。

しかし遅かった。


伸びる影がプテラノドンを捕まえた。


100メートル上空からグイグイと引き寄せる。


俺は、スマホを出した時間を計った。


「どれくらい時間が必要だ」


「10分間です」


「そうか・・・聞いたか!10分でプテラノドンを影に引き込むらしい。だから周りを警戒しろ」


「え!何言ってるの・・・」


「黒いティラノサウルスを見たでしょ、あれも影に引き込んで仲間にした感じかな・・・だからプテラノドンを仲間にする最中なの・・・分かった」


「そうなの・・・それって凄いわ・・・」


「誰が言ったか知らないけど、黒魔法はクズでなく最強な魔法よ」


あ!なんか良いことを言ってるぞ。

黒魔法は、晩成型と言って良いだろう。

俺は、隠し部屋でラッキーが重なって急成長したがレアケースに違いない。


なので育てるのが難しい黒魔法職だ。



あ!10分が経った。

最後のくちばしが引き込まれて消えたぞ。


念じると影法師になりだす。


「いでよ影法師」


影から飛び出す黒いプテラノドン。


名前をつけないと・・・


プテ、違うな・・・

テラ、あ!居るぞ。

ラドン、嫌々聞いた怪獣が居るぞ。

プテラ!


「そうだ、お前はの名はプテラだ」


「ギアー」


プテラも気に入ってるぞ。


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