第6話説得



母親は、違う高校へ編入を進めてきた。


「やすのぶ・・・高校だけは卒業してね・・・中卒なんて、まともな就職も出来ないのよ」


言いたいことは、分かっている。


「これ冒険者カードなんだけど」


「それがどうしたの・・・ダンジョンで行方不明になるなんて、だから反対したのよ」


もう聞き飽きたよ。


「ここに数字が出てるよね」


今までのダンジョン管理局で買取ってもらった合計は、33万7000円。

その数字が表示されていた。


ダンジョン管理局での取調べで、読み取られた時に22万円が入金された。


「その数字が何なの・・・」


「これってダンジョンで稼いだ金額なんだ」


「嘘・・・」


母は、口を開けたままカードの数字を見ていた。


「月に20日もダンジョンへ行って戦ったら、もっと稼げるハズなんだ」


「それでも行方不明になったのよ・・・」


「ダンジョン管理局の見解は、ダンジョンで眠っていたと言ってるよ。それに検診も受けて異常ないと検診結果も出てるから心配ないって・・・ランクの高いダンジョンには行かないから・・・」


それでも納得しない母に、ダメだしの話をした。


ネットで晒されて炎上してる事実。

編入を許す学校もないだろうと言った。

学校側も問題児を編入させたくないハズだ。


あきらめ切れない母は、知ってる学校に電話して話し込んだ。


「ダメだったは・・・仕方ないかも・・・父さんもあきらめてるみたいだから・・・」


悲しそうな母の顔が印象的だった。

しかし、嬉しく堪らない。





ダンジョン局推薦の店で買いまくる。


防刃アームカバー:高強力ポリエチレンを採用、優れた耐切創性がある

防刃足カバー:耐切創足袋、通気性抜群、高い弾力性

防刃服:Tシャツタイプ、耐摩耗性、耐切断性、耐引裂性

防護ベスト:前後の面はスチールを金属使用

予備一式もカートに入れた。



あ!あのお茶があるぞ。


あの時のお茶の美味さが、今でも忘れもしない。

それも2リットル8本で1322円。

だから3ケースをカートに入れた。



お会計は、冒険者カードで済ませる。


そして人が見てない場所で影に入れた。

めちゃ便利でいい。





Fランク『吾妻ダンジョン』。

本当ならオークがいるDランクに行きたい。


しかし、それは条件に適わない。


Eランクのダンジョンへ入るには、100万円以上の魔石を売る条件があった。

Dランクは、1千万円以上が条件だった。


影の中には、1千万円以上の魔石があった。


しかし今は、全てを売らない。

炎上中の俺が売ったら目立ち過ぎる。


ネットの動画サイトでも「怪しい人物、タイムスリップしたと証言」

そんな似た物で溢れていたよ。


顔まで晒されていたよ。

あれって中学の卒業写真だよ。

同じ学年の誰かがネットに流したらしい。


俺の家まできて動画を撮っているクソだ。

母は飛びだして抗議したが、それもネットで流しやがった。


「母さん、こんな風に晒されるから行ったらダメだよ」


「分かったわ・・・それでも・・・」


だから今は見ない、聞かないのダンマリを決め込んだ。


見たらムカムカして怒るだけだ。





『吾妻ダンジョン』で4日も入り続けて、日に20万の魔石を買取ってもらうぜ。

それが今後の予定だ。


それを4日も続けば、冒険者カードはEランクに自動的に昇格。


だから『吾妻ダンジョン』に入った。



やっぱ学生の冒険者は居なかった。

ここって学生ダンジョンとも呼ばれてるからね。

平日はガラガラだよ。



ゴブリンが走ってきたのでブラックショットを放つ。

なんかブラックショットの威力が上がってる。


ゴブリンの頭を打ち抜いていた。

マジで凄い。


銃弾で打ち抜いた感じだ。


第4位階魔法になれば威力が上がるって聞いていたが・・・それは本当のようだ。


「いでよ黒影」


影法師の黒オークが影から這い出す。

影法師と呼ぶのも・・・だから黒影と名をつけたよ。


「ブヒー」


俺の再会に喜んでいる。


「いいか俺以外の人間の臭いを嗅いだら、影に隠れるのを忘れるな」


「ブヒー」


分かっていると信じるしかない。


出て来るゴブリンを蹴り上げる。

天井でグシャとなるゴブリン。


ああ。今度は踏みつけたぞ。

惨い殺し方だ。


4階層も黒影の好きな狩場だ。

だから無双している。


そんな黒影を連れて5階層の階段まで着て、階段を下りた。

5階層が最終階層でFランクのダンジョンの証でもある。


やっぱ出て来る数は13体のゴブリン。

それを相手に無双する黒影。


ゴブリンの手には、剣が握られている。

そのゴブリンも蹴り殺す。


あっちのゴブリンは、槍で黒影を突いたが皮膚に傷1つも付けれない。

そして踏まれてペシャンコだ。


ここでも黒影は大丈夫なようだ。


殺し終わった黒影に「俺は帰るから・・・黒影は、好きなだけ戦ってくれ」


「ブヒー」と答える。


俺は、自分自身の影に入る。


そして1階層の影かれ外に出た。

1回でも行った場所なら影から影へ移動できることが判明したよ。


地上にも出れるが、冒険者カードで買取ボックスに魔石を入れる必要があった。

それに勝手に外に出て、監視カメラに写ったら大変だ。

あの取調べは、コリゴリだよ。


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