なぜか私が幼馴染のハーレムメンバーであると勘違いされている

@7281mo-mu

 冒険の後のプロローグ

「今日の冒険の成功を祝って」

「「「「カンパーイ!」」」」

ここはラピス王国の都市の1つ、城壁都市アメジスト。

街は夜の闇に包まれ、辺りも暗くなり、住民は寝静まる頃だろう

そんな夜遅くにも拘わらず、この街の冒険者ギルドの中に併設された酒場では冒険者たちの喧騒が響いていた。

食事の肴として今日の冒険について語り合う男女、酒の飲み比べをする屈強な男たち、専用のコーナーで自分の従魔と一緒に食事をとる少女、受付嬢をナンパして壁に投げ飛ばされるチャラ男、ただひたすらに山盛りの飯を食べる全身鎧の人物など、様々な人々がこの酒場で思い思いに過ごしていた。

そして、そんな人が賑わう酒場の中に5人組の男女がいる。

私たちである。

「やっぱり私たちのパーティはこの街一番ね!なにせ10年の間、この街の誰にも倒せなかったAランクモンスターであるグリフォンを倒したのだから!」

軽鎧を着たオレンジの髪をポニーテールにした少女、自信家で真っ直ぐなソードマスターのアメリ―が誇らしげに言う。

ちなみに、グリフォンは風や雷の魔法に優れた飛行技術を持っており、風雷の王獣とも呼ばれ恐れられている。

肉は硬いが美味かった。

「アメリ―、もっと声を小さくして。そんなに大きな声で言ったら面倒くさい人が来るわよ」

アメリ―の声の大きさを注意したのは、魔法使いが良く着るようなローブを身に纏った水色の髪をおさげにした少女、パーティの頭脳であるアークウィザードのネイレスだ。

「まぁまぁ、今日はいいんじゃないですか?私たちは誰にも成せなかった偉業をなしたのですから。それに、あのくらいの声なら聞こえないと思いますよ?なにせ、すごい喧騒ですから」

ネイレスを諭すのは、神官の服を着た金色の髪を腰まで伸ばした少女、パーティの清楚枠であるアークプリーストのクリスタだ。

以上、この三人の美少女が私のパーティメンバーである。

「今日の冒険を無事に成し遂げることができたのはみんなのおかげだ。クリスタの言う通り、今日ぐらいは羽目を外していいんじゃないか?」

・・・そして、こいつはこのパーティ唯一の男、私の幼馴染で自称オールラウンダーのライトである。

一応、このパーティのリーダーである。

以上。

「・・・なぁルナ、なんでそんな不機嫌なんだ?何か嫌なことでもあったのか?」

「不機嫌、ねぇ・・・。ふふふ」

「ル、ルナ?」

後、こいつの特徴で言い忘れていたことがある。

それは・・・

「お前が、お前が!行く先々で女に惚れられているからだろうがバカヤロウッ!」

「え、えええええ!?」

そう、こいつは生粋の女たらしなのだ。

「いや惚れられてるって、・・・やっぱり俺は別にそんなことないだろ!そもそも俺が女性に惚れられたことなんて一度も「3人」え?」

「この、1週間で、新しくお前に惚れた女の数だ、よ!」

「いやそんな、気のせいだって・・・」

「今回の依頼でグリフォンの討伐に行ったら、途中でハイオークの群れに襲われている騎士服着た貴族の令嬢っぽい美少女+αを助けました。それからなぜかそいつらと一緒に行動するようになって、そいつらの目的がBランクのキマイラで、最終的に、お前があの子と共闘して倒していた!」

「た、確かに共闘したけど、・・・そのあとすぐ別れたし、俺があの子に惚れられたなんて気のせいだろ」

「いや、惚れてたねあの子!だってあの時のあの子の眼が物語っていた」

だって、あの子の眼が明らかに恋する乙女だったから。

こいつのそばにいると嫌でも見るもん、そういう眼!

「み、みんなもなんか言ってよ。ルナの気のせいだって」

だって、

「あー、そうだった。確かにムカムカスルワネ。その時のあの貴族女、ずっとあんたの隣にひっついていたし」

「え?」

「落ち着きなさいアメリ―、相手は貴族よ。既にあの女にも婚約者がいるに決まっているわ。だからもうあの女とアンナコトニナルコトハナイハズヨ」

「ちょ」

「ふふふふふ、あんなぽっと出の女なんかにゼッタイマケナイ」

「み、みなさーん?」

私以外のパーティメンバー全員、こいつに惚れているから。


私の名前はルナ。

このパーティのスカウトを担当している灰色の髪の狼獣人であり、番・・・恋人募集中の美少女である。


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