第19話 決着
黒田と片桐は、夜の街の裏通りでついに対峙していた。二人は以前から因縁を抱えており、それぞれが追い続けてきた「標的」としてお互いを意識していた。街灯の薄明かりの中で、黒田の冷静な視線と片桐の鋭い眼光が交差する。
黒田は静かに口を開いた。「片桐、お前がやってきたことはもう明白だ。これ以上逃げられると思うな」
片桐は口元に不敵な笑みを浮かべながら答えた。「逃げるつもりはないさ。俺もお前に決着をつけるためにここに来たんだ」
二人はじりじりと間合いを詰め、緊張が高まる中、互いに一瞬の隙を狙い続けていた。
突然、片桐が銃を抜き、黒田に向けて発砲した。しかし、黒田は鋭い反射神経でそれをかわし、瞬時に身を翻して片桐の背後を取る。彼もまた拳銃を構え、片桐に狙いを定めた。
「片桐、お前にはもう道はない。今すぐ投降しろ」黒田は低く冷静な声で言った。
片桐は一瞬の沈黙の後、ゆっくりと銃を下ろす。しかし、その表情にはまだ諦めの色が見えない。片桐は最後の賭けに出るかのように、再び銃を握り直した。だが、その瞬間、黒田が鋭く動き、片桐の銃を叩き落とす。
「ここまでだ、片桐。俺に勝てると思ったのか?」黒田がそう言って片桐を拘束しようとした瞬間、片桐は小さなナイフを取り出し、黒田に向かって突き出した。だが、黒田はそれを読んでおり、素早く片桐の腕を掴んでねじ伏せた。
片桐は倒れ込みながら、悔しそうに黒田を見上げた。「さすがだな、黒田。お前の執念には敵わなかったよ……」
黒田は静かに片桐を見下ろし、冷たい表情のまま言った。「これが俺のやり方だ。正義のためには、お前のような存在を許すわけにはいかない」
その後、片桐は警察に引き渡され、数々の罪で裁かれることとなった。黒田は一度だけ彼を見送り、心の中で静かに呟いた。「さようなら、片桐。俺たちの戦いはこれで終わりだ」
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