第2章27話「別世界に来た地球人」
マシロは目を覚ました。
下は固いような柔らかいような芝生の上。
目の前には大きな木がマシロを影で包み込んでいた。
視界がぼんやりとしている。
長いこと眠っていてまだ寝足りない感覚がする。
マシロは身体を上げると御苑の中にいることが分かった。
どうして新宿にマシロはいるのだ。
お金は。
自分の脚か、他人の脚なのかそれすら分からない。
だが何にせよ記憶が全くない。
ドラマのように何か睡眠薬を吸ったり、殴られた痛みなども感じなかった。
「いったい、何が……」
その声は爆発音によって止まる。
耳がキーンと音が鳴っていて思わず耳を抑える。
何が起きているのだというのだ。
徐々に感覚器官が覚めていき、目も耳も機能し始める。
最後の記憶は友達と遊びにいったがある。
だがここに来るまで間。何があったか全く思い出せない。
状況を確認するために動いた。
少し先に行くと、そこは地獄。そう呼ぶほかないと思うような光景だった。
全身が血だらけ、大きな破片が刺さっていて死んでいるのかもどうか分からない人や子供の泣き声や叫び声。
少し上を見ると黒い煙が所々で上がっている。
爆発音に発砲音。砲弾が空気を切りながら近くのビルを破壊する。
皆がその音に思わず顔を伏せる。
だがマシロはただ眼をまっすぐ見ていた。
家族を失った人たちの叫び。血だらけの布。
その光景が思わず目に焼き付いてしまった。
ここは戦場だということを気が付いた瞬間、
「愛侑!!」
妹の愛侑は家の中だ。
足が先天性により不自由で車いすで生活している。
最近おしゃれを楽しみ始めたまだ10歳の可愛らしい妹だ。
下は瓦礫だらけだ。家族はいるも、
幾ら大人とはいえ10歳の子供を抱きかかえてどこに避難するというのか。
ましてや逃げることなど出来るはずもない。
助けないと。
マシロは気がつけば走っていた。
中野区までからかなり距離だ。
乗り捨ててあった自転車に乗り、マシロの家まで全速力でこぐ。
やはり戦争なのか。
東京が燃えて、街が壊されている。
でも世界は統一されたはずだ。
攻めてくる相手などいないはずだ。
戦いが起きるはずがないのにどうしてこのような状況になっている。
走ればそこには死体が転がっている。
そしてマシロは角からビルの中の角に逃げる。
銃を持っていたのは地球軍だった。
足を止めて確認する暇などない。
そして騎士たちだ。騎士の格好をした人物が剣から炎を出したり、風を出したり、
更には光線を出してまるで漫画のような光景が目の前に繰り広げられている。
それにもし相手がマシロを見つけてしまったら、マシロはまず間違えなく殺されてしまう。
身体が震えそうになるのをこらえて、とにかく隠れて前に進む。
だが三分の一くらい超えると足に限界が来る。
こけてしまった。しかも瓦礫の近くで腹をこすった。
思わず体をのけ反らす。顎も強打して口を噛んで血が出てしまう。
自転車は炎に包み込まれた。マシロは走るしかなかった。
それでも無我夢中で走り続けた。
破片が足に突き刺さり、靴下が濡れていくのを感じる。
ただそこにあったのは家族が無事であってくれと。その願いだけが体を動かした。
戦場がどうなっているのか頭になかった。
冷静になればよく生き残っていたと思う。
痛みと何も頭が回らなかった俺はただ家に向かって走り続けた。
そして見えたのはうちの家だ。
「父さん?」
父さんは頭が潰れていた。瓦礫が頭を潰したのだ。
体が動く気配もない。
理解することが出来なかった。
死んだ。もう父さんと話せない。
もう何も出来ない。もう何もしてもらえない
父さんの手は前に伸ばしており、マシロは父さんの体から目をそらす。
だが現実をそらすことは出来なかった。
そこにあった家がなかった。
「愛侑!! 母さん!!」
二人は直ぐに見つかった。避難するために玄関にいたのだろう。
瓦礫をどかせばすぐに見つかった。
妹は瓦礫に埋もれていた。
愛侑の息があるのは母さんがそれをかばったからだ。それで致命傷は避けられている。でももう母さんの息がなかった。
それでも愛侑は血を流しすぎた。
吐血していて、顔色は悪くなっている。
マシロは、今はただ声をかけて瓦礫をどかすことしかできなかった。
早くしなければ死んでしまう。
「お兄……ちゃん?」
「そうだ。お兄ちゃんだ!! 今助けるからな!!」
意識がはっきりしているのか分からない。
反応が正常かどうかなど考える暇がなかった。
爪が割れ、指先から血が出て、うめき声を上げる。
でもそれでも瓦礫を掴んで、木材を使って、瓦礫をどかして愛侑を助けようとするしか頭になかった。
「お……兄ちゃん、あ……あり…がとう…」
「お礼を言うのは、助かった後だろ!!」
「うん……うん」
そういって愛侑は涙を流す。
早く。早く。
爆発した。
「が……」
その爆風で背中を打ち付ける。頭に何か当たって意識がはっきり出来なくなった
父さんはその爆発で燃えた家の破片で燃え始めた。
愛侑の姿は瓦礫によって閉ざされている。
動けない。息が出来ない。声をかけることも出来ない。
マシロは何もすることが出来ず、意識を失った。
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また御苑の中にいた。空は暗く、星が綺麗に見える。
夢だと思った。街が壊され、大勢の人が殺されたことを。
そして家族を失ったことを。
でも違う。
その手にこびりついた血。爪はばっくり割れ、頭は包帯がまかれている。
そこに誰か来て手に光がともされた。その瞬間手はみるみる元に戻っていった。
頭にもかけられ、包帯を取られた。
魔法だ。戦いの中でも見た。
魔法なんて非現実的だと最初にそう思い浮かんだ。
でもその考えこそが非現実なのだと。
横には布で巻かれた大きな物体。
その燃えきれたズボン。体格は愛侑と母さんのものだった。
その顔は布で覆われている。
涙が出なかった。
ただ座る姿勢を変えるに過ぎなかった。
どうでもいいとそう思った。
ここで悲しもうがもう誰も帰ってこない。
全て無駄なのだ。
もしここに愛侑が生きていたら、愛侑が生きていけるように行動していたかもしれない。
母さんがいたら、慰めていたかもしれない。
父さんが生きていたら、その胸の中で泣いていたかもしれない。
あるいは複数人いたら肩を抱き寄せ合って死んでいった人を弔ったかもしれない。
でも誰もいない。
ここで何かアクションを起こしたことで何か変わることもない。
泣いていようが、ここでうずくまっていようが結果は変わらない。
例えここで泣こうが、自分を傷つけようが、何もかも変わらない。
それに悲しむ心などいない。それを留めようとする体などいない。
それを慰めてくれる家族はもういない。
ふと横を見ると軍服を着た男の人が現れた。
あれは軍隊の物だ。地球連邦の、今まで民間人を殺しまわっていた相手だ。
どうしてここにいるのだろうか。敵で、殺人鬼の彼らが。
冷めきっていた心に熱がともる。
これは怒りだ。
体がその心によって脈打ち、そして体が動く。
大きなうなり声と共にその兵士に近づく。
口を開こうとした時には、その兵士の目の前にいた。
「何で殺した!!」
そう大きく叫ぶと男性は震えていた。
マシロに理性などなかった。ただ怒りに任せて乱暴に問い詰める。
「お前らのせいでどれだけの人が死んだと思っているんだ!!」
「ご、ごめ……」
「謝って許されるか!!!!」
服を掴み、怒りを表す。
そう怒りを男に振り回した。
「マシロ!!」
大翔だ。髪を白に染めていたのか、でも顔ですぐに分かった。
大翔の目はたしなめようとする目だった。
そのたしなめる目はマシロに目を向けられている。
「その人たちは操られていたんだ。意識がない状態で殺すように命令されて、その手は血に染まってしまった」
そういって大翔は地球連邦の兵士を見る。
マシロは思わず手を放してしまった。
洗脳。意味が分からない。
そんな理由で納得しないといけない事に。
大翔はその男の肩に手を当てる。
「自分が洗脳されていた間に起きたことに目を向けたんですね。でも……」
「いえ……ごめんなさい。私のせいで…」
そういって頭を土につけてマシロに向かって頭を下げる。
その目にあったのは罪悪感だった。
ぼろぼろと泣いていた。
その顔を見て更に怒りが湧いてくる。
なんだそれは。
魔法というのはさっき見た。
でもだからといってなんだというのだ。
マシロは大翔に目を向ける。
「だったら誰を恨めばいいんだよ!!」
はい、そうですかとそう簡単に言えるはずがない。
洗脳なんて言われても納得することが出来ない。
そんなわけの分からない理由でマシロは怒りを抑えないというのか。
怒りが収まらなかった。
その怒りは戦いが始まる時になってむしろ怒りの火は燃え盛っていた。
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そうして今日を迎えた。
戦いが始まり、マシロたちは避難を促されている。
だがいくら何でもそのうちここにも来るだろう。
マシロはポケットの中から黒色の結晶を取り出す。
魔石。
銃も管理されていて、残った武器はバットやパールくらいだが大翔の一度戦った時に感じた。
まともに戦えば勝てないと。
相手は魔法使いだ。勝つためには同じ魔法使いでないと駄目だ。
民間人に手伝いはさせる癖に、戦いには参加さしてくれなかった。
無理いって参加することが出来なかったのもあるが
何より大翔がいるところにいたくなかった。
何故か大翔は力を持っていた。天使の子供として何故か慕われていた。
そんなあいつを見ていると、自分が下だとそう思ってしまい嫌になった。
訓練している様子も見せてもらった。
魔法の撃ち方は身体強化魔法や火魔法など教えてもらった。
それを使えば相手を倒せるはずだ。
一個くすめとることが出来た。
他の人たちも同様だ。
そこにどんな思惑があるか分からない。
ただ誰にも頼らず自分たちの力でやろうとしている。
何処でもいい。
戦うことが出来るならマシロは見捨てられても、身代わりにされてもどこでもいい。
ここにいるのは不信感やそして憎しみに身を焼かれたもの達だ。
マシロは15歳だ。もう大人なのだ。
戦うことを認められた。
敵が一人忍び込んできた。
マシロは身体強化魔法で相手に殴りかかる。
身体も防げて相手に高威力の打撃を与えることが出来るからだ。
そのまま皆が火を放って全方位からその悪魔に向かって放つ。
そしてマシロは一度下がって、相手が攻撃を食らった瞬間止めを……
―――え?
マシロは上に飛んだ。
飛ぶにして体が軽い。嫌ないのだ。
何があったのか分からない。
ただわかったのは首が飛んで自分の首の断面図が見え、首を切られたということ。
他の皆を死んでいた。皆血を流し、うめき声を上げずに死んでしまった。
声が出ない。喉が切られている。
マシロはもう死ぬ。
頭に残った酸素が少しだけ、マシロをこの世界へといさせているだけなのだ。
走馬灯が流れる。
見えたのは学校の思い出、そして家族との思い出だ。そして家族の死に顔も。愛侑の吐血しながらも最後に有難うって言ってくれた声も。
こんなのあんまりすぎる。
なにが足りない。
大翔は何故見える。
力があれば、妹が死ぬことも、今殺されることもなかった。
見る力があれば、こんな奴に死ぬことはなかった。
生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。
異世界の人は動体視力がよく、0.1秒よりも早く見ることが出来る。
そんな異世界の人はマシロの0,1秒の間の顔の変化に、溢れた涙に気味がられる。
その剣がマシロの鼻もとに来て……
マシロは死んだ。
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「逃げろ!! 死にたくないなら、逃げろ!!」
流河のそう皆を励ましながらも走る。
紫花菜は反対に
「大丈夫!! 大丈夫だから!!」
と子供たちを少しでも恐怖を和らげようと大きな声を出す。
そうしないと爆発音で聞こえないからだ。
攻撃が紫花菜たちの元に来た。
突然。一瞬のことだった。
いきなり上から人が降ってきた。
まるでここにいるかのように何人もの騎士や魔人がここに来たのだ。
護衛の人が戦うが、攻撃を防ぎとめることが出来ない。
車花が防いでくれたものも、皆知覚した。
殺意を籠った手が自分たちに及んでいる事を。
皆一斉に逃げ出した。
逃げる方向は。どうすれば生き残る。
どうすればいい。
大勢の子供を抱きかかえることは出来ない。
その分だけ走力が落ちる。
さっき紫花菜に力を与えてくれた子供たちは皆恐怖で足を動かすことが出来ない。
逃げ出す足が前に出ない。
「紫花菜!!」
「紫花菜ちゃん!!」
大和やアスハ達が子供たちの手を引っ張ってくれた。
「死ぬぞ!!」
「足を動かしなさい!!」
その声に子供たちも現実を認識することが出来た。
どうすればいいかと周りを見る。
「こっちだ!! 俺についてきてくれ!!」
流河はそう大きく叫んだ。
皆がその声を聞こえていたのか分からない。
ただ流河が先頭になって走りだしてくれた。
その自信を持った走り方に皆ついていく。
後ろを振り返ると、そこは戦場だった。
騎士や剣士が戦っている。
数はあちらの方が多い。
劣勢なのは見るに分かった。
それでも騎士や剣士は紫花菜達の為に戦ってくれた。
騎士達が頑張ってくれたおかげで何とかこちらには光線が向かなかった物も、逆側んいあったビルは簡単に崩れていく。
その威力の高さに紫花菜はひゅっと声が出てしまう。
横に逃げたら駄目だ。
一度はぐれてしまえば、何処に逃げたらいいのか分からない。
もし戦場がここまで広がれば、確実に巻き込まれる。
手から生み出された炎がこちらに向かってきている。
「「「「きゃあああ!!!」」」」」」
そうやって恐怖に叫んでいるだけましなのだろうか。
身体の一部が抉れて動けない人がいる。
紫花菜達は車花に守られたが、他は守れていないところがあった
それを見たものは脚がすくみ、でも人の流れによって、押し出される。
その悲惨な光景に子供たちが動けなくなる。
「やああああああ!!」
何が正しいのか分からなくなる。
足は逃げることすらできなくなる。
「大丈夫だ!! きっと助けてくれる!! だから生きるのを諦めるな!!」
流河が先頭に走ってくれるおかげでばらばらにならずに済んだ。
流河は今度は真ん中に移り、声をかけてくれる。
逃げ道は決まった。
「走れ!!」
「走って!!」
そう流河と、最後尾で守ってくれる車花がそれぞれ声をかけてくれた。
自衛隊の人たちも合流し、足が遅い子供を運んでくれている。
泣いて止まった子がいた。
それを知らない男が声をかける。
「ショタも女を美味しくさせるおかずだ。動かないなら俺にその体利用させてもらうからな!!」
そう手を広げて追いかけようとしたら、その言葉に男の子は何か別の恐れを抱いたのか自分でその男から逃げ出した。
何がともあれ全員が走っている。
早く逃げないと。射線上にいてしまうことになる。
かといって相手に存在をばれた以上、むしろこっちも味方に見られないといけない。
今はただ大通りを走るしかない。
紫花菜は陸上部で入っている。
自給そうなのでそれなり足は速く、持久力もある。
でもこんな恐怖に支配されれば足がすくむ。
体に血が舞わらず、呼吸も乱れペースが逃げることが出来ないんじゃないかとそう感じてしまう。
子どもたちはちゃんとは尻切れるのだろうかと心配になる。
紫花菜たちはただ逃げ回ることしか出来ず、今は救援を待つしかない。
相手は上から攻撃してきた。
最初相手が空間魔法で紫花菜たちの元に来たときは、大翔がよくヒーローショーでやっている金属を出す魔法が紫花菜たちから守ってくれた。
その心強さに子供たちも歓声を挙げ子供たちの最初の起きる不安は解消された。
だが相手は更に上空から降りてきたのだ。
自由落下をすればこちらの攻撃を防御魔法だったり空間魔法だったりと攻撃に対処できる。
むしろ今までしなかったのは相手からしてその魔法使いを戦場に出すためか。
第一陣として空間移動魔法を使って相手は攻めてきたが、撃退された。
確実に大勢の戦力を投入して、撃破されないようにするにはその魔法使いを戦場に出す余裕があるとこちら側が誤認させたのか。
それについては、紫花菜は分からない。
紫花菜が現実を背けるだけのただの想像だ。
だがそうやって他の事に意識を向けないと恐怖で押しつぶされて足が回らない。
爆発が相次いで起きている。
光線や瓦礫が紫花菜達をいつ襲ってくるか分からない。
室内に入るという選択肢はない。
中に入ってしまえばその建物が崩れた時に抜け出すことが出来ない。
それに道は必ず狭くなる。
その狭い分だけ密集して縦に並ぶことになり、一発で死ぬ人が多くなる。
広い道だからこそ大勢の人が広がって避難できる。
それにもし中に入れば相手が空間魔法で先回りされたとき、もっと地獄を見る羽目になる。
死は何も相手からだけが理由ではない。
紫花菜達が殺してしまうかもしれないのだ。
前に走っている人がこけてしまったらその体を踏みつぶしてしまう。
その体に足が躓き、更に踏んでいってということがある。
密集すればそれだけリスクが増える。
被害を最小限に抑えるためには外を走るのが正解なはずだと。
だが死ぬときは死んでしまう。
紫花菜たちは走る。
後ろから断末魔が絶えない。
声変わりのしていない子供、髪を染めている青年。
皆普通の生活をしているのに突然殺されそうになっている。
「助けて!! 足がぁぁ!!!!」
走れば転ぶ人もいる。
その上に人が逃げて、蹴られ続ける。
助けることが出来ない。
紫花菜の手はもう子供がいる。
もう紫花菜の手は埋まっている。
近くの子供が突然止まった。
「もう、やだぁぁぁ!!! ママ!!!! パパ!!! ああああああ!!!!!!」
もう辛いのは嫌だと、走るのを諦めそう子供が叫んだ。
子どもは頭を撃たれて、顔が口だけになる。
死ぬ間際までそう叫びながら死んでいったもの達。
紫花菜はそれでも走り続けた。
流河や車花が紫花菜達を支えてくれる。
騎士達が戦ってくれていることに。
守られている。守ってくれる彼らについ願ってしまう。
そしてその子供の叫び声を聞くたびに強く思う。
そうやって小さな命を犠牲にして前に進んでしまう自分の身体に。
こんな理不尽に死にたくないのだとそう知覚する。
でも何をすれば生き残れるのだろう。
ここで脚を必死に動かして何になる。
この脅威に立ち向かうことは出来ず、ただ逃げることしかできない。
ただ辛い時間が伸びて、死ぬときにむなしくなるのではないか、そんな心が紫花菜を蝕んだ。
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