第2章幕間「親衛隊」
アドラメイクは親衛隊を集めた。
1位から4位の悪魔がアドラメイクに向けて膝を下ろし、頭を下げた。
その中の一人が声を上げた。
「一気に潰しましょう」
「爆撃や自走砲を使えば、相手は疲弊します。兵器に防御を固めれば相手を楽に殺せるはずです」
「駄目だ」
「何故です?」
「今回の状況は力を持たない一般人は、相手にとって他国の人間だということだ」
そう、問題点はここは異世界だということ。
フラガリアを奪還しに行ったもの達にとって守るべき場所ではない事。
まさかあれだけの人数を助けようとしたことに驚きと馬鹿さ加減に笑ってしまうほどだ。
「こちらの世界の軍人と協力している以上、民間人を守りはするが、何事も限度というのがある。相手は海辺を確保している。海の中に潜伏されればこちらとして探すのは苦労するだろう」
風魔法と水魔法がある以上海の中でもある程度活動できる。
海辺を取られている以上過剰に戦力を使えば、相手は民間人を見捨て、海の中で潜伏する可能性がある。
だからこそ、今回の戦い。ある程度緩く戦わないといけない。
逃げる理由にはならない程度の戦力で。相手はこの程度で諦めてはならないと思わせる戦力に手を抜かないといけない。
相手の正義の心を利用しないと、また逃げられる可能性がある。
「そうですか……」
舌打ちは声に出さないようにしたのだろうが、アドラメイクにはしっかり聞こえた。
面倒くさい。それはアドラメイクも同じだ。
「なら民間人を利用するということですか?」
「あぁ、そうだ。ベルブ、やれるな」
そうアドラメイクが名を叫ぶとベルブは嬉しそうにアドラメイクと顔を合わせた。
「お前が指揮を取れ。プルプラス。お前は副隊長としてベルブを支えろ」
「……分かりました」
そういってプルプラスはしぶしぶ受け入れた。
顔は嫌そうな顔だ。隊長ではなく副隊長ではないことだ。
「相手は最大14年間はここにいる。フラガリアを助ける為にそれだけの時間を潜伏する相手だ。数はいくらでも用意する。気を引き締めて取り掛かれよ」
「了解しました」
「お前たちはフラガリアの傍に付け。あれを取られたらこのゲーム盤は全てがひっくり返る」
そうフラガリアさえここに取り戻すことが出来れば彼らにとってここにいなくなる必要がない。
2人がいればそれも心配ないだろう。
悪魔たちはアドラメイクから離れていった。
だが一人、親衛隊の第1位の悪魔がアドラメイクの元に残る。
「本当によろしいのでしょうか?」
「何が言いたい」
「相手は侮れません。それこそアドラメイク様にとって邪魔になる存在を一気に叩く絶好の機会です。全員で総攻撃すれば海辺をよらずとも倒せるはずです」
「……」
「アドラメイク様、一つご質問したいことあります」
「もうあなたに敵などおりません。魔石に変換しなくても、今私たちの戦力があればいくらでも元居た世界で取りに行くことが出来ます。一体あなたは何のためにそんなことを。一体何をしようと」
「それは………………お前に言うつもりはない」
そうアドラメイクはその悪魔に向かって言い放った。
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