『ブキミッシュ』

やましん(テンパー)

『ブキミッシュ』 上 (全3話)


 オオ・ムカムカ星人は、ついに太陽系に到達した。


 しかし、まさか、ダレ・モン・ソーダ星人が先に来ているとは思ってもいなかったのである。


 オオ・ムカムカ星人の宇宙船は、直径300メートル、全長約1000メートルの長い棒のような姿である。


 回転しながら宇宙を進行している。


 ダレ・モン・ソーダ星人とは、本来同一種族だったが、遥かな昔、仲間割れして分離独立した。


 どちらも、自分達こそがオリジナルだと主張して憚らない。


 いまさら、そんなことが、判る筈もないと、周囲は思っていたが。


 しかし、どちらも、宇宙世界最高度のテクノロジーを持っていることに、間違いはなさそうだった。


 ただし、ダレ・モン・ソーダ星人は、地球人と同じくらいのサイズだが、オオ・ムカムカ星人は、その100分の1程度である。


 これは、またまた、はるかな昔に、食糧不足を解消する方策として、身体を縮小したのである。


 まあ、つまり、両者は『犬猿の仲』、というべきものであった。


 それが、地球の畔で、出くわしたのだ。


 おいしい、おいしい、食べ物を目前に、両者は対峙したのである。


 ちょっとした、おあずけ状態である。


 ちなみに、ダレ・モン・ソーダ星人は、もちろん、先のお話のようには、地球人類をそのまま宇宙に解き放つ気なんか無かった。(『人類冬眠』参照)


 宇宙船に、集合させておいて、食糧にするつもりである。


 そこらあたりの事情を把握した、オオ・ムカムカ星人は、『自分勝手な!』と、頭に来て、地球人に対して、その『事実』を伝えようとしたのであった。


 しかし!


 地球人類は、いまだ、重力波通信でさえも、また、当然ながら超空間通信も、ダークマター通信も、持たなかったのである。また、オオ・ムカムカ星人は、古式ゆかしき電磁波による通信などは、すでに行っていなかった。


 つまり、通信手段では伝えられないわけよ。


 しかも、地球は、一歩先んじた、ダレ・モン・ソーダ星人の宇宙船に囲まれて、すでに降伏していた。圧倒的に優勢である。


 一気に闘いに入るか?


 が、ダレ・モン・ソーダ星人は、かなり手強いことは、オオ・ムカムカ星人もよく知っていた。


 そこに登場したのが、たまたま、通りかかった、『宇宙勇者 ビョータン』である。


 その名声を知らぬのは、地球人のみ。


 ダレ・モン・ソーダ星人も、オオ・ムカムカ星人も、勇者ビョータンには、真っ向からでは、歯が立たないのである。


 『ああ、きみたちは、ここで、なにしてるのかな?』


 勇者ビョータンが尋ねた。


 『あの、地球のみなさんとの友好を深めるためです。』


 ダレ・モン・ソーダ星人は答えた。


 オオ・ムカムカ星人は、こう言った。


 『地球人類に、先進的文明を伝えるためですよ。』


 『それは、素敵だ。では、わたしが、その露払いをいたそう。いや、なに、礼はいらん。ははははははははは。』


 勇者ビョータンは、さっそく、地球に向かったのである。



      🌎️










 


 


 

 

 

 


 

 





  

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『ブキミッシュ』 やましん(テンパー) @yamashin-2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る