第5話強引に取り付けられる約束

 月曜日の朝。

 私が登校していると背後から挨拶され、肩に腕を回し隣を歩く人物に身体が強張る。

「やぁ〜おはよ、阿佐木ぃー。怠いけど一週間頑張ろやー。この先の公園にちょいと寄ってこうや。阿佐木に登校中会えて、テンション上がるわ〜!阿佐木はどうよ、私と会えて?」

「おはよう……ございます。私はそれほど……その、一限終わって以降じゃ——」

「しないしない。彼女から来てないからしないって今は。金曜日は会ったから、手ェ出しちゃっただけ。彼女には内緒ね、あのことは。もしあんたがバラしたら、今より酷いことしちゃうかも……」

 宇野が肩に回した腕の方で顎や口許を撫でながら会話を続けた。

「……しないで、すぅ……」

「そうしてくれると助かるよ。お互いのためにね……それはそうとさぁ、阿佐木は夏休みってなんも用事入ってない感じぃ?」

「はぁ。いっ……今のところは埋まってないです。夏休みは……休ませ——」

「プールや海、行くのはどうよ。想い出のひとつやふたつは作っといた方が良いからさぁ。どっちも行くっての良いじゃん、どっちかでもいいけど……阿佐木はどっち行きたいよ?」

「その、宇野さん……行かないという、のはぁ——」

「え?行く気ない……?ウソぉ〜プールと海に興味なしぃ〜い?ただ涼みに行くだけだよ、変な妄想しちゃってる?彼女らの居ない私と阿佐木の二人で行くって話だよ。あんたの親って厳しい感じ?良いじゃん、行こうよ阿佐木〜!」

「あの……それは——」

 公園内に脚を踏み入れた私達。

 ブランコに連れてかれ、座るように促され、従い返答に困惑する。

「行けない〜?寂しいなぁ〜阿佐木ともっと友好を深めたいのにぃ〜なぁ!そうなるとヘンナこと、考えちゃうな。行くとは、言わないつもり?」

「ひゃあうぅっあはぁんっ……ひゃそぅそのぅっ……そこはぁっんんっ、やぁっぁあ、やめぇっ……ぅんんっぁあっっ……いぃ、いぃっぎぃ……ひぃぅん、行ぎぃまぁっ……はぁあんっんんぅっ!行ぎまぁずぅがらっ……ひぃ、はぁはぁ……やめでぇっ、おぉねがぁい……じぃまっずぅううぅぅ〜!」

 私は背後に回った宇野に片方の胸の乳頭の周りを撫でられ、スカート越しに陰部を擦られ、喘ぎながら降参を表明した。

「行く?行ってくれる?そう、嬉しいよ!やっぱり夏はプールや海で涼むのが良いよね〜!早く言ってよ〜行きたいってさぁ!じゃあ、行っこか?」

 彼女に手を取られ、ブランコから立ち上がり公園を出た私。

 宇野の強引なやり口に降参して、行かざるを得なくなった。

 狡い……彼女たちはほんとに狡い。


 私は繋ぎたくもない宇野の手を繋いで歩くしかなかった。


 宇野は上機嫌で登校する。


 宇野とは下駄箱で別れ、加藤に呼び出されることなく月曜日は平穏だった。


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