優等生はいじめで保っている

木場篤彦

第1話皮を被った優等生

 私は優等生で知られる加藤芹那と彼女がつるんでいる女子生徒達からいじめられている。

「せりちゃん、相変わらずひでぇことが平然と出来んねぇ!」

「ハハっ!優等生で有名なアンタがいじめなんて教師が知ったらどんな表情つらを見せんだろうね!」

「アンタらものった口だろ!さっさと見てねぇでやれよ!」

 体育館の倉庫内に耳障りな嘲笑が響き続ける。

 宇野と越谷が全裸にされた私にバスケットボールを投げつける加藤に非難の声を飛ばすが愉しげに鑑賞している。

 そんな二人に一喝して指示を出す沼地美彩。

「おまえに指図されなくてもやるよ、バァーカっ!」

「せりちゃん、沼地がイキがってんの頭にクんだけどどうにか出来ない?」

「気に入らないなら、抜ければ良い。私はどっちでも構わない。ほぉーらぁっっ、泣けよ阿佐木ぃ〜!もっと愉しませろって、阿佐木ぃっっ!」

 加藤は宇野を振り返りもせずに抑揚のない声で返し、見開いた眼をぎらつかせ、私に投げつけるボールに先ほどよりも威力を込めた。

「ゔくぅっ……うぅ、ぐぁはぁっ、はぁはぁ……いぃっ、いっ痛ぃやめぇ、ゔぅっはぁあっ、あぁああぁぁ、痛いぃ……やめぇ……てぇ……うぅゔぁっ、うぅっ……」

 私は加藤に何十球もバスケットボールをぶつけられ、泣きながら呻くことしかできない。

「はぁーあ……せりちゃんってば。萎えたぶんは、彼女コレにぶつけるか」

 宇野は嘆息を漏らし、加藤や越谷、沼地と共にバスケットボールを私にぶつけ続けた。

 昼休憩が終わる10分前まで加藤達からの暴行を受け、マットに寝かされ、加藤達から代わる代わるに絶頂かされた。

「はぁー、すっきりしたぁ。さてと……後はサボって愉しもうが、真面目に授業を受けようが自由にしな。私は戻る。阿佐木、お疲れー」

「出るっての!阿佐木が授業に出てねぇと怪しまれる。あんたのお陰で無事に愉しめてるんだ、今日はやめとくよ。じゃあなー、おまえら」

 体育館の倉庫から出ていく加藤の背中に叫んでから、沼地と越谷に別れを告げた宇野だった。

 越谷が倉庫から出ていくと、沼地が私に制服を押し付けてきた。

「制服着て。授業に遅れず、受けなさい。またね」

 沼地は立ち上がり、一瞥もくれずに倉庫から立ち去り、私を置いていく。


 私は……私が、あんた達に何をしたっていうの……?


 私は身なりを整え、立ち上がり、倉庫を出て、扉を閉め教室へと急いだ。


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