短編

パイオ2

特訓


「よくやったタカヒロ!

 よくぞ居残り千本ノックをやり遂げた!!」


「はい!カントク!!」


「そんなボロボロになってまで……。

 本当に、すごい根性だ。

 お前は俺が今まで指導してきた中で、

 最高の選手だ!!」


「ありがとうございます、カントク!」


「だが、まだだ。

 全国の連中を相手にするには、まだ足りない。

 今以上に過酷な練習が必要になる」


「カントク!俺、どんな辛い練習でもこなしてみせます!

 甲子園に行くためなら、なんだってやります!!」


「……タカヒロ、本気なんだな…?」


「はい!」


「よし、わかった。

 じゃあ千本ノックの次は……

 千本コックだ!!」


「千本コック!?」


「今からお前には俺のおちんちんを千回抜いてもらう。

 千本ノックを終えたばかりのボロボロの体にはこたえるだろう。

 手にはマメが出来るかもしれん、潰れるかもしれん。

 だが、お前なら出来る、お前ならやりきると信じている!

 どんな方法でもどこをつかっても構わん、お前が思うようにやってみろ!!」

 

「カントクッ…!?」


「出来るな!?」


「出来ません!!」


「タカヒロ!!」


「すみませんカントク……。

 俺、出来ません……」


「タカヒロ…。

 ……甲子園に行きたくないのか?」


「行きたいです!」


「勝ちたくないのか!?」


「勝ちたいです!!」


「ならば抜け!!」


「出来ませんッ!!」


「タカヒロ……ッ!!

 何故だ、どんな辛い練習もこなすと言ったじゃないか…!」


「練習はこなします」


「ならば抜け!!」


「出来ません!!」


「タカヒロ……。

 お前には失望した。

 ……やる気がないなら帰れ!!」


「帰ります」


「待て、タカヒロ……ッ!!」



・ ・ ・



「わかった、タカヒロ。

 確かに、俺もどうかしていた。

 お前の成長に目が眩み、

 高校生を指導していることを忘れていた」


「カントク……」


「直接触れるのが嫌なら、

 最初は手袋アリから初めてみよう!!」


「……ッ!

 カントクッ!!」


「その代わり、ローションはちょっと多めに塗るぞ。

 さあ、出来るな!?」


「出来ません!!」


「タカヒロッ!!」


「帰ります」


「タカヒロッッ!!!

 ……タカヒロ、わかった。

 ならば……道具を使っていい!

 俺のバッグの中に、水色と銀色の縞々の

 ペットボトルみたいなのプラスチックカップが入ってるだろう。

 これを使えば、初めての子ひとのをぬいたことないこでも半分はいけるはずだ。

 だが、タカヒロ。

 残りの五百回は自分ひとりの力でやり遂げるんだぞ?」


「出来ません」


「なんでなのよ……」


「やりません」


「タカヒロぉぉ……」



・ ・ ・



「そうだ、タカヒロ。

 これを言ってなかった。

 ハハッ、高校生のお前には、抜けと言われても

 おちんちんに力を加える方法しか思いつかないだろ?」


「……カントク?」


「これはお前もいずれ知る事になるだろうがな。

 大人はお尻に力を加える事で抜く方法もあるんだ。

 …信じてないな?よし、やってみろ!

 カントクのバッグに入っている、

 電動器具を使ってもいいぞ!」


「やりません」


「タカヒロォ……」



・ ・ ・



「お前の気持ちはよくわかった。

 そこまで意志が固いのであれば、

 俺はもう何も強制はしない」


「カントク…」


「だがタカヒロ、これだけは約束してくれ。

 ……今日ここであったことは、誰にも言わないと…ッ!!」


「……!!!

 帰ります」


「タぁカヒロォ……!」



・ ・ ・



「わかった、タカヒロ。

 もし誰かにここでの話をするのであれば、

 俺がお前を指導するのは今日が最後になる」


「カントク……」


「だからと言っては何だが、

 俺の最後の望みを聞いてくれないか」


「カントク……」


「そんな目で見るな。

 もうお前の手を汚そうなんて考えちゃいないさ」


「カントク……!」


「俺が自分で千回抜くから、見ていてくれ!!」


「帰ります」


「タカヒロ……っ…!!」

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