好きで何が悪い
@ri-tyan
俺の知らない“あいつ”
まただ
泣いてる…
何が辛いのか 、俺には 分かる
きっとまた 彼氏と 別れた 。
でも、俺には それが どこか 心の奥底では
───嬉しかった
──────────────────
「姉さん。」
俺の声に はっとしたのか 姉 は 、顔を 上げる。
「あら、どうしたの蒼太?」
相変わらず、わざとらしい…
さっきまで悩んでたくせに
「いや…、明日の、入学式…姉さんが司会、やるんだろ?」
そう、明日は 俺の入学式。
今年進学し2年である姉は 3年生を越せる程の信頼と成績で
勿論、スポーツも絵も顔も人柄も
何も非の打ち所がない生徒会長
漫画等でしか見れない絵に描いたような
優等生で俺の自慢の姉だ。
「そうだけど、そんなに気にしなくて良いわよ。」
「もっと自信もって、『私凄いでしょ?!』みたいに言わねぇのかよ。
謙虚だな…」
「…良いじゃないのよ…謙虚で」
少し声が曇る。
(何か、俺、悪いこと言ったか…?)
「さ、そろそろ晩御飯作るから。
早く食器とか手伝い準備してよ?」
「はぁ~?!だっっっる…」
「そんな事言うなら今日のあんたのデザートのチョコレート全部食べるからね?」
「やめろ!」
そんな会話をしながら渋々リビングに向かう。
そうして、リビングに着く。
そこは 、この性格の姉の家か本当に疑う程、荒れていた
「…母さん…」
「なに、うるさいわね。」
「…飯は?」
「もう食べた、要らないわ。」
「そうか…ごめん、じゃあ」
テレビの前に寝転ぶ母に声をかけ
短い会話をして姉の元へ向かう。
父親が死んでからずっとこれだ…
かなりショックだったのだろう
母親は酒に溺れ、暴言暴力を俺らにしてきた
もう、慣れたものだが…
自分の部屋にあるものの大半は俺と姉のバイト代を叩いて買ったものばかりだ
それでも嫌味一つ言わず、家族に配慮する姉は
本当に素晴らしいと想う…こう、なりたかった…
俺が泣くたんびに言う
「お母さんはね~…寂しいだけ…だから
酷く言っちゃうの、本当は、そんなこと思ってないから、大丈夫。大丈夫。」
『大丈夫』
それが姉の 口癖だった
でも、言葉って本当に魔法みたいだよな
それで、安心できたんだ
「…お母さん、なんだって?」
答えを分かりきってて、俺に聞いてくる
「…飯、もう食ったって。」
「じゃ、それも私達で分けて食べちゃおか」
「…うん」
そう晩飯を済ませ、父親の仏壇に線香を炊いて寝る
それが俺の一日
──────────────────
今日は待ちに待った入学式。
桜は満開、綺麗な新しい制服
でっけぇ学校。
高校生人生のスタートラインに立つ。
入学式が着々と進んでいき、姉の名前が呼ばれる
「では、生徒代表と持ちまして。
相原 憂七さんの言葉をどうぞ」
「はい」
「ん?」
そう呼ばれてやってきたのは
同姓同名の、男だった。
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