入学試験②



アルクウェル学園の模擬試験場に立つリク。その前には、レベル3の実力を持つ受験生が待ち構えていた。相手の眼差しには戦い慣れた鋭さがあり、油断を許さない雰囲気が漂っている。レベル3は学園の入学試験でも十分な戦力と見なされ、リクにとっても決して容易な相手ではない。


(レベル3か…これは本気でいかないと)


「試験、開始!」


試験官の合図が響くと同時に、相手は鋭い動きで間合いを詰めてきた。リクが身構える間もなく、その剣が迫りくる。リクは相手のスピードに一瞬驚いたが、すぐに冷静さを取り戻し、最小限の動きでその攻撃をかわした。


観戦している在校生たちからも声が漏れる。


「相手はレベル3だぞ。あの新入り、大丈夫か?」


「さっきの受け流し…意外と冷静じゃないか?」


リクは、再び攻め込んでくる相手の動きを観察し、相手の攻撃がどのタイミングで隙を生むか見極めようとしていた。相手は単調な動きに留まらず、変則的なフェイントを織り交ぜてくるため、簡単にはリズムを掴ませない。


(やっぱりレベル3ともなると、動きが違う…けど、負けない)


相手が再び突きを放ってきた瞬間、リクはその勢いに乗じて巧みに間合いを詰め、自分の剣を振り下ろした。リクの一撃は正確で、相手の剣を弾き飛ばすには十分な力があった。弾かれた相手は一瞬驚いた表情を浮かべるが、リクがすかさず次の構えに入っているのを見て、悔しそうに身を引いた。


「試験終了!」



試験官の声が響く中、リクは安堵の息をついた。レベル3の相手との勝負は緊張の連続だったが、勝利を収めたことで確かな成長を感じていた。


(“やり直し”のスキルに頼らず、自分の力で乗り越えられた…この調子で強くなってみせる)


リクは心の中でそう決意し、次なる試練に向かう意志を固めた。

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