まずはレベル5



森の中を慎重に歩みながら、リクは自分の成長の道筋を考えていた。今のレベル4では、まだまだ弱いと分かっている。オーガを倒したとはいえ、それもやり直しを繰り返してようやく勝ち得た結果だ。自分の力だけで成し遂げられたわけではない。


「まずはレベル5だ。それが今の目標だ…」リクは心の中で自らに言い聞かせた。レベルが上がれば、より強い魔物にも立ち向かえるようになるし、ギルドでも一人前として認められる。少しでも早く成長したいと、彼は強く思った。



森の奥へ進むうちに、足音がかすかに響くのを感じた。それは動物や風の音ではなく、何かが地面を踏みしめる重い音だった。リクの目は鋭くなり、手元の剣を再び握り直した。



「次はどんな相手が来るんだ…?」



その瞬間、茂みから低い唸り声が響き渡り、リクの目の前に牙をむき出しにした巨大な獣が姿を現した。ゴブリンとは違い、彼よりも大きな体躯を持つその魔物は、彼をじっと見つめている。恐怖と興奮が交錯する中、リクは自らに言い聞かせた。



「ここで逃げたら、成長なんてできない…!」



リクは恐怖を抑え、足を踏み出した。彼の中で芽生えたのは、ただの自信ではなく、失敗を重ねてきた者だけが持つ粘り強い決意だった。この魔物を倒し、少しでも経験を積むことで、リクは確実にレベル5へと近づけるだろうと信じていた。



「次は負けない…!」



強く拳を握りしめた彼は、前方の魔物に向けて駆け出した。レベル5に到達するための戦いが、今、始まろうとしていた。

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