RE:召喚勇者の現代帰還~それでも勇者は勇者としてあり続ける~
MrR
異世界での最後の戦い
Side 藤崎 シノブ
=異世界ユグド・魔王サウラスの城=
魔王のサウラスの城。
荒廃して荒れ果てた土地。
永遠に晴れない暗闇が空を閉ざしている。
古き良き魔王のイメージにピッタリな土地。
そこで人と魔王との最終決戦が行われていた。
異世界での最後の戦いは熾烈を極めた。
異世界で動員できる戦力と魔王軍とのぶつかり合い。
銃弾や砲弾、ミサイルの代わりに異世界では剣や槍、弓や魔法が飛び交う。
ただの剣や弓矢と侮るなかれ。
単純な身体能力が下手なアメコミヒーローよりも強い人達だ。威力もそれ相応である。
この世界の人間は勇者にテキトーな装備と路銀を与えて魔王城に突っ込ませるような真似はしなかった。
異世界の人々も率先して魔王と戦う道を選んだ。
相手するのはドラゴンだかゴーレムだかグリフォン、マンティコアだのの上位種。
そこに魔王軍の四天王に地球で名を残す実在した、あるいは実在したかも知れない英雄、英傑のダミーも混じっている。
それらを潜り抜け、この戦いを終わらせるために藤崎 シノブ達は魔王サウラスのいる玉座の間で戦う。
玉座の間は本来の世界と切り離され、魔王が産み出した、魔王が有利になるような異界と化している。
異界は空中庭園と形容すればいいだろうか。
雲の上に浮かんだ幅が広い石畳の通路。
晴天やお花畑まである。
魔王らしくもない天国のような光景だ。
その世界にポツンと、大きな年季がいった、素人目でも分かるぐらい高級そうな玉座にサウラスがいた。
サウラスの姿は魔王と言うより悪の大魔導師だか魔法使いに近い。
傍には大きな魔法の杖が浮かんでいる。
魔王は次から次へと戦力を投入。
対する藤崎 シノブはと言うと白銀の鎧に赤いマント。
テンプレ的であり、逆に恥ずかしさすら感じるような背格好。
手には冗談抜きで城が建つほどの資材が投じられた剣と盾を持つ。
身に纏う装備の性能も高すぎて魔法の武具と言うより、魔法動力の高性能なパワードスーツと化している。
周囲にいるシノブ側の味方も同じく、パワードスーツと化している高性能な武具を身に纏っていた。
姫騎士がいた。
魔法使いがいた。
戦士がいた。
騎士がいた。
格闘家がいた。
天界から降り立った戦乙女がいた。
魔界の悪魔も味方してくれた。
藤崎 シノブと同じく異世界から召喚された勇者もいた。
他にも様々なヒーロー達がいた。
藤崎 シノブは思う。
きっとこの戦いが終わっても異世界の人々は間違い続けるのだろう。
人間同士で争い続けるのだろう。
だけど、人類を存続させるために人類を殺し続ける仕組みは間違っている。
だから終わらせることにした。
☆
気が付けば藤崎 シノブは手に持った剣を、魔王のサウラスの胴体を玉座もろとも貫いていた。
暫くの静寂。
光の粒子となってサウラスが。
配下達が消えていく。
空間も元のサウラスのいた玉座の間に戻り、ガラスから光が差し込む。
そして藤崎 シノブは剣をかがげて念話で言う。
大切な勝利宣言。
これを行うまでは勝ったとは言えない。
――魔王サウラスは、勇者シノブが討ち取った。
一呼吸おいて、瞬間大歓声が外から響いてきた。
終わったのだ。
長かった魔王討伐の旅が。
異世界の人々の未来を問い、切り開く旅が。
☆
=数日後・異世界ユグドの天界・大神殿の時の広場にて=
この異世界ユグドにおいて人と神の距離は近い。
そこで女神様と神官、一緒に旅をした仲間達に王族たちが出席していた。
天界の大神殿、時の広場。
そこで藤崎 シノブはいっしょに異世界に来た谷村 亮太郎と元の世界へと帰還する手筈だ。
武器は異世界便利アイテム、アイテムボックスに放り込んである。
服装もマントや鎧に兜ではなく、母校の学生服姿。
(不安だなぁ……)
別に怒られるわけでもないのに不安に思う。
自分達が元の世界に帰った時、元の世界では一日どころか一時間も時間が経過してないように時間軸を調整する手筈だ。
留年や長い間家をほったらかしにして親に怒られて泣きつかれる心配もない。
高校生としての日常が戻ってくるのだ。
もちろん今回のように時間に干渉する行為は特例だ。
魔王を討伐とした報酬代わりである。
そして女神様の「いきますよ」の一言と共に時の広場が光に包まれる。
女神様の力で藤崎 シノブは谷村 亮太郎と一緒に元の世界へと帰還した。
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