デザートにラブストーリーは如何ですか?

揺月モエ

第1編 誰かの日記

Day1


チュンチュン…


外から鳥のさえずりが聞こえる。


起きなきゃ…


と体を起こそうとする。


「わっ!」


刹那、ベッドに戻される。


「まだ寝てろ」


「…もうっ」


そして仕事に遅刻しそうになるのは言うまでもない。


Day2


淡い朝日で目が覚める。


今日は私は憂鬱だった。


「仕事い゙ぎだぐな゙い゙ぃ」


と可愛げのない声が出る。


「じゃあ、寝てろよ」



Day3


今日は仕事が終わった後、彼と散歩に出かけた。


AirPodsを片耳ずつ付けて二人で音楽を聴きながら。


「100%お前の趣味だな?」


「でしょ?」


二人で同じものを聴いている。なんだか特別だ。



Day4


「おかえり」


と彼は出迎えてくれる。今日は彼の方が帰ってくるのが早かったらしい。


「昼寝するから抱き枕になれよ」


そう言うが本当は私のために昼寝させようとしているのだ。


ベッドの中で優しさと温もりに包まれながら瞼を閉じた。



Day5


「痕付けてやるから来い」


彼に呼ばれ、彼の腕の中にいる。


そして彼は首筋に軽く歯を立て私の首にチクッと痛みが走る。


「なんか嬉しいな、貴方のものって感じで」


「感じってお前は俺のものだろ」


彼の笑みにキュンとする。敵わないなぁ。


Day6


休日なので彼とゆっくりしていた。


彼は昼寝すると言い、私に膝枕をするようにとジェスチャーをした。


彼は秒で寝た。私は気持ち良さそうに眠る彼を膝に乗せながら読みかけの本を読む。


こんな平穏な日々が幸せ。



Day7


今日も休日で二人でカフェに行った。


それぞれ、読みたい本を持って。


あまり会話はせず、お互い読書に没頭していた。


「今日は随分集中してたなァ」


「あなたもね」


帰り道笑いあっていた。


そしてそれぞれ読んでた本を勧め合って家に帰った。



Day8


今日も仕事から帰ってきた後、二人で昼寝した。


いつものように秒で夢の世界に入った彼の寝顔を見て


「ほんと、綺麗な顔してるなぁ」


と私は思いながら眠りにつく。


そして今回は3時間も寝てしまった。


「今日は随分寝たなァ、そんなに疲れたのか?」


と彼は言った後


「おつかれさん」


と付け足してくれる。



Day9


仕事の帰り道、自転車を走らせていると彼が待ってた。


「仕事おつかれ」


と言ってくれる。


そして仕事の愚痴を聞いてもらいながら自転車を引きながら家へと歩を進める。


「大変だったなァ、帰ったら可愛がってやるよ」


その笑顔と天邪鬼な優しさで私は頑張れるんだよ。


ありがとう。





この日記はこんな内容がよく書かれてた。


どこでこの日記を見つけたかって?


それはな・い・しょ!


…まあ、古本市ですがね。



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デザートにラブストーリーは如何ですか? 揺月モエ @nakamoe0429

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