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両耳にキラリと光る星のピアス。


「そりゃ大事だから。毎日身につけてるよ。」


甘いキスを繰り返すふたり。


「連絡先、教えるね。」


あなたはそう言って、ケータイをポケットから取り出した。


今度こそ、一方通行の恋じゃないよね。信じてる。


連絡先を交換して、勇一さんは嬉しそうに微笑んだ。その目は濡れていた。


「俺、今すっごく幸せ。海果ちゃんが腕の中に居るもん。」


「私もだよ。勇一さんに会えて、両想いになれて、幸せ。」


幸せを噛み締めていたら、突然刃物を持った男がこちらに向かって走ってきた。


「どけーーっ!」


男は叫んだ。


そして、勇一さんは私をかばい…。


「…え、何、が、起きたの…?」


腹部から痛みを流し座り込む勇一さんと、頭の中が真っ白になる私。そして、男を取り押さえるお巡りさん。


ピーポーピーポー…


救急車のサイレンが鳴り響く。私は、勇一さんの傷口を強く抑えて、「助けて」と叫んでいた…。


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