11.嘘か本当か

p62

結局削除出来ずに朝を迎え、大きな欠伸あくびをした。


「…全然寝れなかった。」


ぐるぐる嫌な事ばかりが頭の中を埋め尽くして苦しい。


鏡で見た自分の顔は最悪で、泣き腫らした目が辛い現実を突きつけてくる。全部夢だったら良かったのに…。


学校、行きたくないな…。


また憂鬱ゆううつな朝。


ひとりに戻ってしまった。


朝ごはんは苺ジャムをパンに塗って食べて、重たい足で家を出た。


「…髪、切ろうかな。」


風に揺れる長い髪を触りながら、私はふとつぶやく。


なんかもう、色々と投げ出してしまいたい。


勇里さんが触れたこの長い髪を切って、幸せな思い出まで消してしまいたいの。


胸元まで伸びた長い髪。切る予定なんて全然なかったのに。


急に全てをリセットしたくなった。

失恋すると髪を切るって、何かで言ってた気がするけど、私にとっては当たってる。


学校へ行くと、クラスの女子たちが恋バナで盛り上がってて、私の心はどんどん分厚い雲で覆われていく。


「○○くんと○○ちゃん付き合い始めたって。」


「中学からずっと片想いしてたらしいよ。」


「長年の恋が実ったって事?いいなぁ!」

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