9.オネェさんの正体

p50

夏休みのほとんどを勇里さんと過ごし、暑さも少しずつ落ち着いて、あっという間に枯葉の舞う季節。


「彼氏の家に泊まったの〜。もう幸せで〜。」


教室では、一軍女子の須賀原すがはらさんが友達と恋バナをしていた。


「誰かさんには、デートとか無縁の話だろうけど〜。」


そう言ってまた馬鹿にしたように笑う。


別にいいもん。無縁じゃないし!勇里さんといっぱいデートしたもん。そう言えたらいいのに。


ピコン


【学校終わったら、駅前のカフェ行かない?チョコバナナパフェが大人気みたいなの♡】


勇里さんからのメールに、須賀原すがはらさんへの嫌な気持ちが一気に吹き飛んだ。


バレッタはいつも身に付けてるし、メールもしてるから、まるで今も一緒に居るみたいな感覚。大丈夫。私はひとりじゃない。


【カフェ行く!楽しみ(*≧∀≦*)】


【ふふ。良かった。じゃあ、またあとでね。】


今日も頑張ろう。


「この子可愛いよなぁ。」


「可愛いけど、俺はこっちかなぁ。」


お昼休み、男子がケータイを片手に何やら話してる。


「甘えてくる子とか可愛くない?」


「ツンとしてるのは嫌だよな。」

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