"恋"と呼ぶのもおこがましい

はるむら さき

朝起きて、空を見たら久しぶりに雲ひとつない青空だった。清々しいくらい良い天気だ。

今日はお休みで、特に用事もないんだけれど、出かけてみようか。

バイトして貯めたお金で、自分へのご褒美に買った、華奢な細工の水色の新しいピアス。

うん。これをつけてみようかな。

いつも友だちと行くような雑貨屋じゃなくて、お姉ちゃんと一緒に入ったジュエリーショップで買った特別な一品。

歩くたびかすかに揺れて、耳元でしゃらしゃら小さな音が鳴る。

ちょっとくすぐったいけど、それもなんだか良い感じ。


今日は本当にどんな約束もないんだけれど、近所のパン屋のフルーツサンドと、意外と美味しいコンビニの珈琲を買って、あの公園へ行こう。

たまには、ひとりピクニックっていうのも良いんじゃない?

きっと青空の下、気持ちがいいに決まってる。


そうしてベンチに座っていれば、いつものように、犬の散歩であの人が通るかもしれないし…。

話したことはないけれど、今日の空と同じ名前を持つ、隣のクラスのあの人が。


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