第12話

静かな夜。

神聖な七夜。




誰もが星に願い、

そして2人の久しい逢瀬を祝福する。



そんな、

密やかな美しい夜。






愛しい人を抱きしめ、隣でその温もりを感じることができる。


笑顔も、泣き顔も、喜びも悲しみも共有して。









疲れ切って家に帰れば、"おかえり、お疲れ様"と声がする。


その言葉に、嬉しそうな笑みとともに"ただいま"と返事がする。











そんな日常に愛しさを思い出させてくれるこの夜は、


空に輝く2つの星は、



厚い雲に覆われながらも、

その中で、今日は一段と素晴らしい輝きを放っているのだろう。






聖なる夜。

雲に覆われた、聖なる光。


光のない、夜。






どうやら七夕の雲が隠すのは、

織姫と彦星だけではないらしい。






雨が降る前にと、

早く会いたいと、


足早に人々が家に向かって歩き出す。







そして。








街の至る場所で、

カーテン越しに、


たくさんの灯りが漏れた。




















fin.

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る